小辰時代からひいきにしている扇橋から、7月の池袋の下席で昼トリをとるので、よろしくというDMが届いた。
となればで、23日の日曜日に出かけてきた。番組はDMによれば、扇橋のほか、一蔵・小燕枝の同期二人、さらには菊之丞・扇辰という豪華なメンバー。
ところが、日曜日ということもあり、この4人のうち出演したのは小燕枝のみ・・・ちょっと寂しかったが、まあこれも寄席の楽しみ。
以下備忘録的に記録中心に記す。開口一番は十八、きく麿のお弟子さんという。「つる」だった。続いて、扇太の「ぞろぞろ」。このネタは先代正蔵で聞いて以来だ。
そしてさん花の「幇間腹」。小さな入れ物で、さん花とバッチリ目があってしまった。もっとも、さん花のトリの時も行っているので義理は欠いていないが・・・
続いて菊太楼の「粗忽の釘」、漫才の笑組と続く。そして圓太郎の「化け物つかい」、こういう寄席でしか、なかなか見られない噺家さんが出てくると嬉しくなる小生だ。
時間ピッタリに安定した芸で魅せてくれる。次が文蔵・・・失礼ながら今までは、あまり口に合わないなあと思っていたが・・この日の「のめる」で印象が変わった。
中入りはさんで、小燕枝が「金明竹」、小満んの「馬のす」と続く。これは嬉しかった。先代文楽の香りも漂う、正統派の芸。
振りもきれいで、背筋がピンとしている。「昔はよかった」なんていうつもりはないが、先代扇橋や圓生なども姿勢がよく、形がきれいだった。
そんな古き良き時代を伝えてくれる小満ん・・・やっぱり好きだなあ。また「馬のす」というネタもいいチョイス、洒脱で粋を感じる。しかも軽くて疲れない。
紙切りの二楽をはさみ、いよいよトリの扇橋の登場だ。お子さんの夏休みの話などを振ったということは・・・ひょっとして・・・
予想通り「藪入り」だった。以前やっていた「身内の小辰」で聞いたのがこの時、そして真打披露の時にも聞き、別の時も含めて何度も聞いているが、今回のそれはさらに磨きがかかっていると感じた。
ストーリーはわかっていても、涙腺が緩んでしまった・・・
それは、池袋という小さな入れ物で、細かな表情ひとつひとつに、複雑な感情の動きが見えてよかったこともあるかも知れない。
だが、扇橋という大きな名前をもらい、日々進化をしていることもまた間違いないと思わせてくれる一席だった。
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