屋台のラーメン

屋台のラーメンって、なぜか昔からあこがれであった。小生の生まれ育った田舎は田舎すぎて、屋台のラーメン屋などなかったので、テレビなどで屋台を見るとなんとも魅力的だったし、明星のチャルメラの袋の絵にもときめいていた。

　今でも、屋台のラーメン屋さんを見ると、つい覗いてみたくなる。小汚い感じがまたいい。大体、しょうゆの色が強くて、ちょっと味濃い目の色あいのイメージがある。
　屋台で味が薄くってはいけない。それが小生のこだわりだ。なぜだろう・・・そうか、生まれて初めての屋台体験が、川崎球場の外で食べた強烈なラーメンだったからだ。

　父に連れていってもらった、大洋vs巨人戦だった。プロ野球の試合を見たのも初めてだったが、それよりも、ラーメンの味を覚えている。
　それから、何回も食べたが、一度笑ってしまった体験がある。ちょうど大学生だった頃のことだ。駅で降りたところ、見たことのない屋台がある。つい、フラフラと寄った。

　入るや否や、オヤジが「お客さん、今日は冷えるね～」、その日は冬にしては、割合暖かかった(笑)。もしかしたら、コイツ、まず最初は必ずそういうのか？
　「いや、今日は暖かいように思いますが・・・」、「おお、そうそう今日は暖かいねぇ」おいおい、さっきなんて言ったんだよ(笑)

　そうこう言ってるうちにラーメンが出てきた。一口すする、まずい！ひたすら不味い。まずスープが薄い、しかもダシがぜんぜん出ていない。
　しかも、麺がグズグスで、コシがまるでない。さすがの麺くいの小生も、食べる気にならなかった。今まで、あれだけ不味いラーメンは食べた記憶がない。

　「オヤジさん、すまねえ。せっかくのラーメンなんだが、脇で不味いの食っちまったあとなんでえ。勘弁してくんない。」なんだか、落語の「時そば」そのものである。

　ときに、写真は横浜で見つけたものである。道に立っている「ラーメン」ののぼりの先にあったのは、屋台であった。
　「のぼり」の立っている屋台ラーメン・・・ちょっと、反則のような気がした。