アモーレ・カンターレ・マンジャーレ

自称イタリア人のオヤジが、好きなサッカーやらグルメやら、何でも不定期に気まぐれに書き綴るサイトです。

円朝ざんまい

2011-08-09 06:25:15 | つれづれ
三遊亭円朝という名前をご存知だろうか。落語にお詳しい方なら、言わずもがなだが、江戸時代から明治にかけて活躍した名人であり、「牡丹灯篭」「文七元結」など名作の数々を作った作者としても名高い。

 その名を冠した「円朝ざんまい」という本を書店で偶然見つけた。となればこれは読むしかないだろう。
 著者は女性で、あとがきなどを読むと、小生より少し年上の方のようだが、ひょんなことから円朝ゆかりの全生庵を知り、そこから円朝にのめりこんでいく。

 円朝は当時の速記本が出ていて、これをベースに、著者が作品の舞台となったところを尋ねてあるくというスタイル。
 また、数々の資料があり、円朝が各地の温泉や名所旧跡を訪ね、実際にそれを作品に活かしていることがわかる。

 それにしても速記本にある円朝の台詞回しのきれいなこと。簡潔にして流暢な日本語の美しさを随所に感じる。
 そして、円朝の作品にこんなに不倫や殺人が多かったんだ、というのもこの本で小生再認識したくらいで、これはそれだけ当時、そういうことが多かったという証拠かと。

 また「牡丹灯篭」などの数々の怪談噺のストーリーの複雑なことたるや、とてもとても・・・という感じ。
 まあ、当時は寄席で、毎晩語り、何夜かで一話が完結していたのだから、これでいいんだろうが・・・牡丹灯篭など、おそらく通しでやると10時間くらいかかるのでは。

 以前三三が「双蝶々」を通しでやったが、途中休憩を挟み、けっこうな時間がかかっていた。この噺も確か円朝の作品だったはず。
 今の時代、一時間かかる噺を聞くのはなかなか難しいし、そもそも一人で噺をそれだけ聞かせるのはよほどの実力がないとつらいはず。

 逆にいうと円朝の力がそれだけ卓越していたということであり、いまだに円朝を継ぐ噺家が出ていないのもむべなるかなと。
 などと言いつつ、表紙の円朝の肖像画がどことなく故円生に似ているように思ったのは小生だけか。

 いつか円朝を継ぐ噺家が出るかも知れないが、「牡丹灯篭」を通しで・・・なんてやるのもつらいし、聞くのも無理だろうなあ・・・
 生きている間に円朝が出ても、今知っている噺家がなるんだよなあ・・・
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