多摩川サイクリングロードの車窓から

トンネルの先にある世界、白馬連峰を見に行こう

『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった』
あまりにも有名な一節を髣髴とさせる場所が長野にはあります。





 長野県は日本の屋根。多くの高峰・名峰を抱え、ヒルクライムの名所も多数あります。

 東京から長野に輪行するルートは主に2つ。長野を経由する北陸新幹線と、松本に向かう中央線の特急あずさです。しかし最近の登山ブームで土日祝日のあずさは登山客で混雑することが多く、時間帯によっては自由席のデッキまで人が溢れることも。そんな状況で自転車を持ち込むのはいろいろと難儀な話で、長野への輪行は混雑状況と相談する必要が常にあります。

 今回の遠征は連休最終日の前日。この日に山から戻って日曜日は休養に充てようと人が多いのでしょう、午後の東京行きは新幹線もあずさも軒並み満員。こりゃだめだなと諦めていたのですが、たまたまキャンセルが出たのか18時35分松本発のあずさを抑えることが出来ました。指定席を取るとライドの旅程が縛られてしまうのですが、背に腹は替えられません。

 そんなわけで朝一番の新幹線に乗って一路長野へ。新幹線輪行はお金こそかかりますが、自転車を置くスペースも多くてラクだし何より速い!なにせ長野まで1時間半程度で、奥多摩や伊豆にいくのと大差ありません。あんまり頻繁にやると財布的に厳しくなりますが、クセになりそうな快適ぶりです。



 そして長野から白馬へ、国道406号を一路西へ。
 

 で、出発20分後にはもうこんな田舎になりました。


 さらに20分後、もはや完全な山奥。行けども行けども平坦が続く多摩川河口民からすれば、うらやましすぎる環境です。
 長野から鬼無里(きなさ)の間は山間部ではあるものの傾斜は緩やか。三歩登って二歩下る、とでも言いたくなるアップダウンが続きます。



 長野から20km、そろそろ補給が気になるところにあるのが鬼無里の集落。おやきで有名ないろは堂本店があるので寄ってみました。


 おやきの種類は様々で、野沢菜・ねぎみそ・かぼちゃ等10種類。野沢菜と季節限定ののびろをを頼んだところ、サービスで粒あんが付いて来ました。何と太っ腹な。


 さすがに3つは食いきれず、持ち帰りをお願いしてみたら快く袋に入れてくれました。いやぁ、サービスでつけてくれたやつなのに申し訳ない。こういった気遣いをしてくれるあたりが人気店たる所以なのでしょうか。


 鬼無里を抜けると、アップダウンのダウンが無くなり本格的な登りになって行きます。とはいうものの激坂といえる難所は無く、嶺方峠に向けて森の中をじわじわ登っていく感じでした。

 そして白沢洞門と名づけられたトンネルを抜けると


 『雪国であった』

 トンネルの真正面に白馬連峰の偉容が飛び込んで来ました。



 写真では半分も伝わらないこの迫力、圧倒されてしばらくぼんやりしていました。ここ嶺方峠は標高1100mという高所にあり早朝に来るとまた違った色合いの山容が見られるようです。
 


 さて、ここで種明かしをしておきます。これから白馬に降りて絶景ポイント巡りをするのですが、そのネタ元はこちらの地図。



 今回のルート選定に大変役立ちました。というか、これを読んで白馬に行きたくなりました。


 早速次に行ってみるとしましょう。嶺方峠から白馬盆地に向けてダウンヒルし、ちょうど下りきった辺りにあるのが大出の吊橋。この周辺は公園として整備されており、家族連れなどが多数いるので自転車は通行注意です。


 川と吊橋、それを見下ろす山並みという構図ですが、ちょっと雲が増えてしまったのが残念。しばらく山を眺めていると、雲とその影が物凄い速さで動いているのが解ります。山頂付近は突風が吹き荒れ、天候がコロコロ変わる過酷な状況なのでしょう。



 続きましてのポイントは蕨平入口。橋の上から撮ってみましたが、とにかく視界が広く雄大な光景です。普通の写真では物凄くわかりにくいので、パノラマ写真を撮ってみました。


(クリックで拡大)
多少なりとも伝わるといいのですが。



 この辺りでお昼時、大法院で天ざるにしてみました。薬味に辛味大根が出てくる辺りが信州っぽいです。値段は少々お高いですが、北アルプスの山並みを眺めながら食べる蕎麦は格別の味です。

 なおこのお店、食べログの地図が間違ってるので注意です。俺はこのせいで迷ってしまいました。



 続きまして向かうのは、青鬼集落。白馬の中心地からかなり外れたところにあります。道中は狭く曲がりくねっており、しかも激坂なので腹を括っていきましょう。


 この姫川第二ダムを過ぎてからがヒルクライム本番。激坂と書きましたが、斜度は最大で10%ちょいといった所。悶絶するレベルではありません。ただ狭い上に見通しが悪い箇所が多いので注意は必要です。


 青鬼集落にあるのは歴史ある民家と棚田、そして棚田の向こうにそびえる白馬連峰。山の隙間から覗き込んでいるかのようです。贅沢を言えば、棚田に水が張ってあればもっと良かったかな。ちょっとタイミングが早かったみたいですね。



 次に向かうのは白馬大橋ですが、途中で大糸線鉄道撮影地を通ったので1枚。列車を待ち構えている人もいましたが、そんなに時間はかけられないので次に向かいます。

 白馬大橋までの道中は3%程度ながら登りになっており、しかも今日は向かい風が強くかなり脚を削られます。今日のルートは最後に大型のヒルクライムが待ち構えており脚を温存する必要があるので、ここは時速20km以下の超スロー登坂でした。


 そして辿り着いたのがこちら、白馬大橋。今までの中で最も山に近く、眺めていると雲が無いところで霧みたいなものが動いているのがわかりました。強風で地表の雪が飛んで吹雪になってるのかな・・・と。


 さて、名残惜しいですがそろそろ白馬を離れて南に向かうことにします。国道148号を南下して最終目的地の木崎湖へ!


 道中、青木湖に寄ってみるとアルプスの山々が再び顔を出しました。
 そして青木湖の南側から小熊山へのヒルクライムを開始、本日最後の難関です。


 ヒルクライムのルートはこんな感じ。目的地はパラグライダー場です。距離こそ8.7kmと短いですが・・・


 登りはじめてすぐ15%級の激坂が連続し、完全に殺しに来ます。


 それもそのはず、ここは鹿島槍スキー場のゲレンデ沿い。そりゃ急ですよね~。
 ここの激坂区間は長さ2.5km程ですが、平均斜度は11%ありました。関東の峠と比べるなら、和田峠が近いでしょうか。

 ひたすら耐えて登り続けると、スキー場のロッジが見えてきました。


 そして開けた視界の向こうに、またしても北アルプスの山々が。白馬で見てきたよりもぐっと近く、クリアに見えます。ここでこんな光景が見えるとは知らなかったので、突然の絶景に魂を抜かれてしばし呆然と眺めていました。


 ロッジからパラグライダー場までもう少し登りますが、斜度はだいぶマイルドになります。さらには北アルプスがちらちらと見えるので、そちらに気を取られて苦しさがだいぶ紛れますね。


 そしてこれが本日最後の絶景、パラグライダー場からのパノラマ!木崎湖と周辺の町並みが一望できます。これだけ広々とした景色というのもなかなかありません。あの激坂を登ってきた甲斐があったというものです。
 しばらくパノラマを眺めつつ、鬼無里からもってきたおやきを頂きました。もちろん冷えていますが、こんな絶景を見ながらのおやつは格別です。


 ここはパラグライダーのテイクオフのため広い原っぱになっています。ちなみに俺の背後が崖みたいに見えると思いますが、崖というほどではないけれどかなりの急坂で、覗き込むと結構怖いです。


 名残惜しいですが、電車の時間もあるので木崎湖に向けてダウンヒル。その道中でも右手にアルプスの山並みが見えます。


 そして最後は木崎湖にて。電車まで多少時間があるので、ほとりでしばらくまったり。

 
 本当に白馬は別天地でした。今日は名所を巡って写真を撮りましたが、街中にいても北アルプスの山並みが目に入ってくるので、ここにいるだけで毎日が絶景。もっとも、ここに住む人達にしてみれば北アルプスなんぞ毎日見ているただの山なのかもしれず、横浜や湘南の風景こそ羨ましいと思うのかもしれません。


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