どこか遠くでフッチボル

鹿島サポだが裏の顔は日本代表サポ組織「食う軍」の司令。徒然なるままボソボソと。

ニセ温泉問題

2004-08-11 | Job
空調工事とセットになっているのが給排水衛生工事。
この二つの工事を行う、また設計する仕事にしているのが“セツビ者”だ。

今回は給排水衛生工事の分野でちょっとお話を。
最近ニセ温泉問題がニュースを賑わせてますねぇ。
長野/白骨温泉での入浴剤使用問題、そして一昨日の群馬/伊香保温泉、同じく群馬の水上温泉で井戸水及び水道水を使用していたと発表があった。

温泉旅館が嘘をついて井戸水を使っていたと驚かれた方も多いと思いますが、実情はとても微妙な問題だと感じます。

kawakero、実は温泉のシステム設計も、結構な物件で設計しました。そして、その全ての物件で、予備・バックアップ用として井戸水や水道水の補給装置が存在します。
永久に湧き出す温泉を期待するのではなく、足りなくなった時には不足分を井戸水から補給しちゃおう…そう言った装置です。
ちなみに、これは違法でも不正でもありません。

なぜなら“温泉”とは、浴槽100%を汲み上げた温泉で満たさなければならない…とはなっていないんですよ。
混ぜちゃってもいいんです。
(源泉が45℃を超えるような湯温がある場合、大抵は水を入れて温度を下げます。)

問題は…源泉の供給をストップして井戸水・水道水のみで運営しちゃった場合でしょうね。
井戸水を沸かして“温泉”を名乗ってはいけないんです。ただの“共同浴場”としなければいけないんです。入湯税を取っていた旅館は悪質だったと言わざるをえません。

温泉の施設にはバックアップ用の井戸水・水道水の補給装置があります。
このバルブを開くかどうかは、運営側の手にゆだねられています。100%なのか0%なのか、それは運営者のみぞ知る状況。
設計者にも、施工者にも分からない、運営側のモラル次第。

温泉は掘削した時が最大の湯量を誇り、その後減少していくのが普通です。減少した湯量を再確保するには、温泉を新たに掘削する方法しかありません。
莫大な費用が掛かる温泉掘削、客足が遠のいている温泉では不可能でしょう。


温泉とは?
(1)汲み上げた水の温度が25℃以上
(2)硫黄、マンガン、ホウ酸等20種類以上の物質で、何か一つが基準値以上(数値基準はいずれも低い)

(1)か(2)で、どれか一つを満たせば温泉を名乗る事が出来ます。25℃以上じゃなくても大丈夫なんです。低い温度でも、マンガンが若干含まれている…この井戸水で満たした浴槽は、温泉と呼べるんです。
日本各地、都心部でも温泉を利用した施設が目白押しで建設されています。
こんなところに温泉が?と言った場所は、低い温度の源泉だが、鉱物が一つ以上引っ掛かったので、それを沸かして温泉と呼んでいる…と言うのが現実。
言ってみれば、井戸水に毛が生えたような物。

基本的に、井戸水と温泉の違いは本当に紙一重。
肌がスベスベになる塩分豊富な温泉、臭いで一発で分かる硫黄豊富な温泉…それ以外はハッキリ言って専門家でも分かりずらい。
※成分分析器具持参してれば別だが(笑)

ニュースでインタビューを受けてた、井戸水温泉に泊まっていたお客さんには笑った。
「夕べ入った時には肌がすべすべしたんだけど、今朝になったら普通な肌だったからおかしいなと思ったんだ!」

分かるかっ、そんなの!