骨髄移植後には、多くの患者で、皮膚炎や下痢、黄疸(おうだん)などの症状が出ます。それは提供者(ドナー)の白血球が、患者の全身の細胞を異物とみなして攻撃しているためです。
免疫とは本来、自分の身体を細菌やウイルスから守ってくれているもので、異物に対しても攻撃を行います。
例えば、傷口に牛肉を付けても、自分の身体の一部とならないのは、免疫が異物を排除するためです。
多くの臓器移植では、その移植した臓器を自身の免疫が異物として認識し、免疫が攻撃します。その免疫の働き抑制する薬が免疫抑制剤です。
過剰な免疫反応を抑えるために、移植後の患者は長期に免疫抑制剤を飲まなければなりません。
しかし、本来自分を守ってくれている免疫の働きを抑えるため、数々の副作用が生まれます。
そのため臓器移植後の患者が免疫抑制剤を飲み続けなくて済むように、多くの研究機関で研究されています。
このたび、理化学研究所が作ったバイオベンチャー、レグイミューン(東京・港)が、リボソームと呼ぶ脂質でできた直径200ナノ (ナノは10億分の1)メートルの微小カプセルに、αガラクトシルセラミドと呼ぶ成分を入れ、このセラミドが白血球の一種で過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を増やす方法を開発しました。
そして、臨床試験を米国の5病院で約50人の骨髄移植患者を対象に開始しました。
移植時に新しく開発した化合物を投与し、2012年中に臨床試験を終え、3年後を目標にこの化合物を製剤として実用化する予定で、臨床試験で安全性を確かめ、最も効果的な化合物の量や効果の持続性などもみていくとのことです。
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