富山から立山黒部アルペンルートで立山室堂へ。雷鳥坂を登り別山乗越から剱沢へ下る。翌日は剱岳を往復。三日目は剱沢雪渓を経て秘湯、阿曽原温泉まで下り、四日目は黒部峡谷の水平歩道を欅平へ。最終日は黒部峡谷鉄道で宇奈月温泉へ。
〈 剱沢のテント場 〉
室堂から剱沢に入る。夕食は恒例の焼肉。テント泊の初日は豪華にというのが私たちのルール。翌朝、軽装で剱岳をめざす。まず一服剱、さらに前剱と2つピークを越えなければならない。振り返れば目の前は残雪の美しい立山連峰。
〈 立山を望む 〉
前剱の2カ所の鎖場を過ぎ、避難小屋の建つ平蔵のコルを過ぎ、最難関はカニのタテバイ。高さ20mの岩場を必死で登りきると山頂まであと少し。祠の建つ山頂からは後立山の展望が広がる。剱岳の標高は3千mに1mだけ足りない。往路を剱沢まで戻りキャンプ場で二泊目。
翌朝、剱沢の雪渓をかけ下りる。長い長い雪渓で、下りきるまでにメンバー全員が一度は転倒した。真砂沢ロッジを過ぎ、二股では左手に三ノ窓雪渓とチンネ、八ツ峰を仰ぐ。岩峰が天を突く裏剱は迫力がある。流水で天然の流しソーメンを楽しんだ。
〈山頂からパノラマ 〉
仙人峠を越え、白い湯煙がたつ仙人湯小屋を経てさらに下り、今日のキャンプ地の阿曽原温泉に到着。剱沢から高度差1,600mをひたすら8時間も下った。この温泉は黒部川沿いの上級者向けルート上にあるので「日本一危険な温泉」と呼ばれているらしい。小屋から5分ほど離れた山中の露天風呂で汗を流す。
三日目、眼下に黒部川を見下ろしながら、断崖に削られた水平歩道を延々12㎞歩く。狭い所は肩幅程度で、つまづいたら数百m下の谷底へ。シジミ坂の急坂を下ると欅平。トロッコ列車で鐘釣温泉へ。ここの風呂は黒部川の河原の天然温泉。翌日、再び列車で宇奈月温泉へ。
標高3千mに満たない山だが、小説や映画に描かれているように最初は人が登れる山ではなかった。それだけに山頂に至るには難所が多い。この山は景色より登行のスリルを楽しむ山だと思う。立山別山まで足をのばすと剱岳の全景が広がるが、ここからの姿が一番かっこいい。
【1985.8.7-12】
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