両極端

ちょっと暇だなーと油断していたら、
いきなりダブルでお仕事になった。
12時からと14時からの時間差。
どちらも奇しくも同じ年のじいちゃんが
亡くなり、同じくらいのばあちゃんが
喪主で、親族、子供、孫の年齢も
似たようなもの…でも実際は大違いの
家だった。

12時からの家には、終始みけんにシワの
面倒くさそうな親戚夫婦がいて、
ヨボヨボのじいさんばあさんなんだけど、
うちが大キライだと言ってはばからない。
自分ちは浄土宗だそうだ。
葬儀が始まる前、雅楽が流れて、
みんな本堂でうつむいて座っているその時、
このジイさんが立ち上がって大声で叫んだ。
「もう12時まわっとるじゃないかっ」
「12時すぎたぞっ」
あたりを見回しながら何度も何度も。
実際、３分遅れていたけど、「出」の雅楽を
止めて顔を見にいこうかと思ったくらい。
葬儀が終わって、出棺のときにおやぢが
あやまりに行った。
「遅れてすみませんでした」
「時間厳守ぢゃろうがっっっ」
にらみつけるジイさん。隣でガンとばすバアさん。
親の顔が見たい。(見たくないけど)

続いて14時からの家、孫がたくさん来ていて、
最後に孫全員のメッセージが読み上げられた。
「おじいちゃん、ありがとう」
「毎日手を合わせるから毎日会おうね」
これを聞いて、不覚にも泣いてしまった。
裏方としていっぱい葬式を見てきた、
この私を一言で泣かせたなんて…
親の顔が見たい。(見たけど)

げぶちは体調が悪いみたいで、
ずっと具合悪そうに胃のあたりを押さえつつ、
機嫌悪げにぶすっとしている。
お医者に行け、と言っても、絶対行かない。
明日は必ず引きずって行く !!!