立ち上がれない

ショックな電話をもらった。
「ゆづきさんが亡くなった」
えっ、と言ったまま言葉が出なかった。
ゆづきさんというのは母の最期の
お弟子さんで母が認知症になってから
私より一緒にいて世話をしてくれた人。
誰の言うことも聞かなかった母が
ゆづきさんの言うことは素直に聞いた。
俳句大会の講演会で、途中で
言葉が出なくなって壇上を降りて
しまったときも「もう公の場に出るのは
難しいかもしれません」と静かに
言ってくださった。私の苦労を
一番よく見てくれていて、私が
「いつもごめんね」と言うと
「なーにを仰いますやら、しょうこさんの
ほうがどんなにお辛いか」と言ってくださった。
天涯孤独で学校の先生をずっとされていて
わがままな母に対してイヤな顔ひとつせず
ずっと寄り添ってくれていた。
女の集まりは妬みがすごくて、母の贔屓の
ゆづきさんは、とことんイジメられ中傷され、
村八分みたいだったけど強いひとだった。
何をされても言われても鼻で笑って
無視できるひとだった。

毎月、母の命日や法座の日にあわせて
花をたくさん持ってきてくれていた。
この２月は来られなかった。
具合悪いのかなコロナだしなぁと
思っていたら同じように連絡が取れないのを
不審に思った民生委員さんが家まで行って
警察を頼んで中に入ってみたら
倒れていて、こと切れておられたそうです。
身よりが一人もいないということなので
警察と市役所で調査中、お骨にはしたらしいけど
身内でない私たちには何も教えてくれない。
ショックで信じられなくて立ち上がれない。
警察や行政にむかって怒っても
しょうがないしむなしいだけ。
とりあえず、うちが出来ることは
お経をあげてお焼香することだけ。
(T_T)(T_T)(T_T)