手づくりオーディオで聴く JAZZ

1960年代の後半、BEATLESがまだ現役だった頃に、初めてアンプを作った。ときどき火がつく。

No.167風 2SK1530パワーアンプ その2

2012年06月13日 12時07分26秒 | TRアンプ


1日もあれば、手直しできると思っていたが 久しぶりにサンハヤトの基板をながめると
裏と表が頭の中でリンクしない。製作した当時はトレース紙を使い 裏側パターン図に
パーツを記載したものを作り、それでチェックしていた。が、それが見当たらない。
というか後日のことを考えて管理しておくということまた頭が回らなかった。
今もそうだが、、、。

さてNo.167が発表されてから早や10年が過ぎている。ということでこれを機に回路にも
少し手をいれてみることにした。2SK1530化の結果がうまくいかなかった場合、2SK2554に
戻すにしても、最新の回路にしておきたかったから。
で、参考にした回路は金田氏の「オーディオDCアンプ製作のすべて」(下巻)の第9章
p49にある 4Ω負荷の回路だ。
この回路と異なるのは、
・初段のカスコード用の石が、No.167で使われていた2SD756のまま。
・ベースに入っているツェナーが16Vのものがなかったので15Vのもの
・初段のマイナス電源をトランスの関係で、54Vと下げたこと。
・MFBは省略
・2SK214の前に置かれる電流制限用の石も省略。
・終段の電圧は50V

ということで、
(1)まずは電源トランスの入れ替え。
と、遊んでいたカットコアのでかいトランスを引っ張り出してきて、いざ取り付けようとした。
が、これがやっかいだった。作った当時のことを思い出した。このトランスはシャーシに
そのまま取り付けるとケースの高さより8mmほど高くてハミ出してしまうのだった。
それで、シャーシにトランスを落とし込むようにしていたのだ。
そのためにトランスを載せるアルミ板を作り、シャーシから吊るという方法を取っていたことも
思い出した。トランス大の穴をあけたので、強度が下がるので、L型アングルを渡していた。
 そのトランスを載せるアルミ板とL型アングルを倉庫から探し出すのに小一時間かかった。
そのあとも、微妙に取り付け穴の位置が違っていたりで、半日がかりの作業となった。
実は、今回使ったのは、当時取り付けたものより、少し古いタイプのようだ(当時のものは
SATRI-ICのパワーアンプ用に今も使っている)。

で、トランスを載せたのが、この写真だ。



このシャーシは構面にパネルがないため、強度が弱い。おまけにトランスが放熱器よりも高いので
裏返して作業するのに安定しないので、放熱器の上に木片を付けて作業している。

(2)カスタマイズ&調整

基板の裏と表を何度も見ているうちにようやく、パターンが頭に入ってきた。
・終段をドライブするのもソースフォロアーを止め、ダーリントン接続にする。
・位相補正のコンデンサを180pFから 330pFに変更。
・いくつかのツェナーダイオードの取り換え。
夕方頃には、片方の作業が終わった。

次は、調整だ。
・初段のみに電源を供給し初段のドレイン電流を測る。指定の4.5mAに近い4mA流れているので
良しとする。
シャーシに取り付け、+-38Vも供給。ただし、終段のドレインへの結線は外しておく。
820Ωのスケルトン抵抗の両端の電圧が 4Vくらいまで発生できることを確認。

次は残りの基板ということで、所定の作業を終え調整となったが、ここから、ちょっとミスを
した。ミスというか、状況把握がまずくて しなくていいことまですることになってしまった。

事の顛末はこうだ。
・初段のチェックのために、2SD756のコレクタ電圧を測ったら、左右の電圧値が極端に違う。
 入力側の方が本来77Vくらいのはずが85Vくらいで、片方は44Vしかない。
 両方で9mAほど流れるのが、片方に集中している。
・これはてっきり入力側の2SD756か飛んだか、作った当時2SK117のペア組をキチンとしなかったの
だろうと早やとちりをしてしまった。
 面倒ではあったが、2SD756を取り換え、2SK117も別のペアと取り換えた。
が、状況は変わらない。
おかしいので、各部の電圧をチェック。するとK117のソース電圧が3Vも出ている。
こういう現象は、初めてだった。もう夜も更けてきたので この日は諦めて寝た。

翌日は、あらためて 回路と基板を眺める。で、もう一度、初段周りの電圧を測ってみた。
すると右のK117(回路図の右側)のゲート電圧が3Vもあるではないか。そう、出力点の
DCバランスが崩れた状態で、これがK117のソースに入っている半固定VRの調整の範囲を
越えていたのだろう。ということで、K117のゲートをアースに落としてやると あっさりと
解決した。ということは、最初から何も問題なかった訳だ。

(3)音出し

ということで、ここから先は、調整は普通に進み、K1530のドレイン電流も450mAくらいまで
上げることができるのを確認。安全を見て200mAに設定。電源OFFにして、暫くおいて電源ON。
電流は、100mAくらいからスタートし徐々に増えていく。これは窪田式のときと同じだ。

さて、音のほうはというと、やっぱり当たり前だが、終段に32Vかけたときと大差はない。
電圧が上がった分、それなりに出力はアップしているはずだが、音の傾向は変わらない。
試しに、オークションで入手したデカいケミコンをケース外に増設してみた。
劇的に変わったと言いたいが、ほんの少し低音の力感が増したように感じた。

2SK2554とどこが違うのか、今は比較できるアンプがないので、別に作ってみる必要があるが、
私の感じとしては、低域の音の立ち上がりのスピード感が2SK2554の方が上回っているのでは
なかろうか。それと、これは金田氏もよく書いておられるが、高域の音の力強さ、輝きは
この石の特徴のようだ。やっぱり、金田式パワーアンプの出力アップには2SK2554のBTL接続
しかなさそうだ。寄り道せずに、あと2台作るのが早道かも知れない。

 << 一応 出来上がりの写真 >>

これも結局、近いうちに 2SK2554版に戻すことになるだろう。





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