<<トラブル続き>>
初めてのタイプのアンプなので、音出しまでにかなり手こずった。
(1)終段は配線せずに、ドライブ段(2SK213と2Sj76)までをチェック
電源を入れて各部の電圧を測っていたら、煙が出た。-側の2SJJ76のソースにつながっている
100Ωの抵抗からだった。これは致命的なミスだと再度基板をチェック。配線にはミスはなさそうなので
100Ωを切り離し、その前段までをチェック。上下対称の回路なので、+側、-側とも同じ電圧が
出るので、チェックしやすい。初段の2SJ109の片側のドレインに電圧がかかっていないのを発見。
基板の表側から石の足にテスターを当てると電圧が0Vだ。基板の裏側(パターン面)には正規の
電圧が出ている。ということで半田付け不良だった。何しろ、この手のDualFETはピンの間隔が狭いので
手書きのパターンだとかなり細くなりうまく半田が乗ってなかったのだ。念のため6本とも半田コテを当てておく。
(2)これでOKだろうとドライブ段も配線し、電源を入れ100オームの両端の電圧を測るとなんと
20V近い電圧が出た。これの原因はすぐに判明。金田式を作っている癖で、半固定VRを半時計回りに
一杯絞った状態にしてONにしたからだ。このアンプは反時計回りでバイアス電圧は高くなるのだった。
パターンは記事どおりなので窪田氏の流儀なのかもしれない。
(3)それでも、VRを絞った状態でも、4V以下にならないので、しばし悩んだ。
実は、参考にした記事では、2SK1530は何ら温度補償対策がとられていない(MJ誌’96年9月号)。
しかし、その後の記事((MJ誌’98年11月号リファインシリーズ24)では、温度補償対策として
HV23Gが使われていたので、それを真似てみた。ところがどうも、こいつが原因だとわかった。
若松通商で調達したが、店の人に、「それは製造されていない。似たようなのがある」ということで
購入していたものだった。ま、内部抵抗を測らずに使った私のミスだが、サーミスタと同じくらいの
100-300Ωかと思っていたが、1KΩくらいあったのだ。ということで、別の記事を探してみたらリファインシリーズ30
では100Ωのサーミスタが使われていたので、これと取り換えた。
これでやっと記事に書いてある調整方法どおりに動作するところまでこぎつけた。
手元の適当なアルミシャーシの上に放熱器を配置(シャーシとは両面テープで止めてあるだけ)し、終段の電源ラインには
+-の両方にFUSEを入れる。スピーカーのラインにも入れる。何しろ、なんにも保護する仕組みが備わっていない。
さて、片CHづつ既定電圧と規定の電流に設定できたので、音出しをしてみようと、プリアンプと接続し、電源をONしたところ
片chの電流計(アナログテスターで代用)が振り切れた。「あ!! 発振か」と力が抜けた。発振防止用のコンデンサを
指定の20PFの倍くらいにしてみたが止まらない。もう夜も遅くなり疲れたので中断して寝た。
翌日、あらためてアンプを眺めていたら、なんとまあ、初歩的なミスをしていた。基板とシャーシ間のアースを取ってなかった。
だから、片chだけに症状が出たのだろう。シャーシへアースを取り、無事解決。
(上の写真の 手前 二つのfuseの間にあるラグ板がそれだ)
<<温度補償がうまくいかない。>>
音は無事に出た。金田式とは、随分、雰囲気が違う感じだ。あっさりとした音とでも言えばいいだろうか。
低音も音域的には出ているが何となく軽い感じだ。石は全て何らかの形て使っていたものばかりで、新品なのは抵抗くらいなのでエージングを待つ必要もない
と思うが、、、、。電源電圧が48Vなので、あまり電流を流すのも怖い。が250mAほど流すと低音も力が出てくる感じだ。記事の指定は200mA。
ところが、電源投入後、7-8分あたりから少しずつ電流が増えてくる。15分くらい経つと300mAも超える。落ち着く様子が見られない。
放熱器もかなり暖かくなっている。記事では、サーミスタを終段の石と熱結合する必要はないと書いてあるが、金田式と同じように、
簡単に2SK1530に張り付けてみた。これで、一応、温度補償ができたかに見えたが、電流が増加する時間がスローになっただけで、
やはり上昇傾向は止まらない。記事の写真からすると結構大きな放熱器が使われているので、放熱器が小さいのだろうと
下の写真のように、手持ちの放熱器を2階建てよろしく載せてみた。が、これでも、まだ完全とはいえない。
やっぱり、もう少し大きな放熱器に取り換える必要がありそうだ。