夫の母が倒れたら

ある日、突然。備忘録。

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2019年07月09日 | 日記
どれだけ待てばいいんだろう。
私たちが病院に着いた時、すでに待っていた家族が呼ばれ、もう戻ってこなかった。
私たちの後に来た患者の付き添いは、長椅子に横になって小さな鼾をかいている。
夜の病院は人気もなく静かすぎて、心もとない。

「カオルは、とうに寝る時間過ぎてるでしょ?よかったら、いったんうちに連れてくわ」

A叔母が申し出てくれたのは、23:00を過ぎたころ。
確かに小学生には遅すぎる時間だった。緊張で、疲れもピークに達していたらしい。
1人では嫌だとぐずるかと思ったら、すんなり娘たちの間に挟まれた。

「よろしく、お願いします…」

「結果が出るまでは起きてるから、何かあったら連絡して」

と言い残し、子の背中を優しく守るように、A叔母と娘たちが帰っていった。


夫婦二人になると、待っていたかのように夫がイラつき始めた。

「いつまで(時間)かかってるんだ」

「夜だから、人がいないんじゃないの?」

「それにしたって遅すぎるだろ…」

普段なら携帯のゲームばかりやっているのに、それどころではないらしい。

「コーヒー買ってこようか?」

「…頼む。」

たいていの病院が敷地内禁煙になった今。
タバコが吸えないのも、夫の不機嫌に拍車をかける。
自分の親のことなのに、こっちに気を遣わせるんだからなぁ…
自販機に小銭を入れながら、腹を立てる自分に言い聞かせる。
こういう時は、怒っちゃいけない、怒っちゃいけない。