夫が不機嫌な顔でトイレを2度往復し、3度目の腰を上げようとした時。
パタパタと足音がして、先ほどの医師が廊下にあらわれた。
「先生!」
小声で呼び止めて、いかがでしょうか、とうかがう。
人のよさそうな大柄な医師は、まだ処置の途中ですがと前置きし
CTの結果、特に気になる点はない。
頭痛と吐き気の症状から見て耳からくるめまいだと思うが、
ものも食べられず吐き続けているので脱水症状を懸念している。
この状態では家に帰せないので、今夜は念のため入院をすすめる。
ただ、今日・明日は週末なので退院手続きができない。
月曜に耳鼻科の外来を受診して退院になる。
とおっしゃった。
うるさい夫も黙って、丁寧に頭を下げていた。
私は先生の話を聞きながら、メニエール病…?と考えていた。
胸をなでおろした私たちは、うってかわって食べ損ねた夕食の話をしたり、
あずけた子がどうしているか心配になってA叔母にラインした。
姑に大きな心配はないこと、子がお世話になっているお礼。
控えめなスタンプをひとつ。
すぐに着信音が鳴り、笑顔のスタンプと、興奮していた子もようやく眠った、
と返信が届いた。
ほどなく、病棟担当を名乗るナースさんがやってきた。
「個室がよろしいですか、大部屋がよろしいですか?」
姑の性格的に、個室しか無理だろうと耳打ちすると、苦笑いしながらも
一日二日なら大した額になるまい、と夫がOKした。
あわせて家族の付き添いを聞かれ、私は一晩泊まろうと言うのに夫が反対。
「下手に素人が手を出すより、完全看護なんだから任せればいい」
ま、私の親じゃないからいいか。と自分を納得させると、急な眠気に襲われた。
日付が変わる頃、ようやく病院を出た。
姑のいない実家で眠るのは、結婚して初めてのことだった。
パタパタと足音がして、先ほどの医師が廊下にあらわれた。
「先生!」
小声で呼び止めて、いかがでしょうか、とうかがう。
人のよさそうな大柄な医師は、まだ処置の途中ですがと前置きし
CTの結果、特に気になる点はない。
頭痛と吐き気の症状から見て耳からくるめまいだと思うが、
ものも食べられず吐き続けているので脱水症状を懸念している。
この状態では家に帰せないので、今夜は念のため入院をすすめる。
ただ、今日・明日は週末なので退院手続きができない。
月曜に耳鼻科の外来を受診して退院になる。
とおっしゃった。
うるさい夫も黙って、丁寧に頭を下げていた。
私は先生の話を聞きながら、メニエール病…?と考えていた。
胸をなでおろした私たちは、うってかわって食べ損ねた夕食の話をしたり、
あずけた子がどうしているか心配になってA叔母にラインした。
姑に大きな心配はないこと、子がお世話になっているお礼。
控えめなスタンプをひとつ。
すぐに着信音が鳴り、笑顔のスタンプと、興奮していた子もようやく眠った、
と返信が届いた。
ほどなく、病棟担当を名乗るナースさんがやってきた。
「個室がよろしいですか、大部屋がよろしいですか?」
姑の性格的に、個室しか無理だろうと耳打ちすると、苦笑いしながらも
一日二日なら大した額になるまい、と夫がOKした。
あわせて家族の付き添いを聞かれ、私は一晩泊まろうと言うのに夫が反対。
「下手に素人が手を出すより、完全看護なんだから任せればいい」
ま、私の親じゃないからいいか。と自分を納得させると、急な眠気に襲われた。
日付が変わる頃、ようやく病院を出た。
姑のいない実家で眠るのは、結婚して初めてのことだった。