夫の母が倒れたら

ある日、突然。備忘録。

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2019年07月06日 | 日記
救急車に同乗してどのくらいの時間が経ったのか。

外は見えず、閉じ込められた場所にいるのが辛い。
もともと閉所恐怖症気味なのに加えて、あの気丈な姑が
一言も口をきかず、身動きすらしないで横たわるのを見ているだけ。
ピッピッという継続的な電子音が、私の心臓に響く。
脇下に嫌な汗を感じる。

右へ曲がり、左へ曲がり…サイレンの音がふっと消え、救急車は停まった。

S病院の救急入口に向かって、担架で移動。
姑は、ただ目を閉じたまま。声もかけられず、右肩のあたりで一緒に早歩き。
暗い廊下から蛍光灯がまぶしい処置室に着くと、ナースさんに
「廊下でお待ちください!」と肩を押された。

うなだれて待合室の椅子に座っていると、携帯の端が光っている。誰かのラインだ。

『今、到着しました。お姉さんがどこにいるのかわからないんだけど…』

A叔母は、既に病院に着いていたらしい。
救急入口とは別の入口そばに女性の姿が3人。A叔母と、その長女・三女だった。

「おばさん!こちらです」

「あぁー、ヨウコさん。大変だったわね。姉さん、どうなの?」

泣きそうな顔のA叔母。…姑の、本当の姉妹だもんなぁ。
私も大変な事が起こってしまった、という顔で続ける。

「実は…イチロウさん(夫)の携帯に、お義母さんから着信があったんです。
ワンギリのように切れたので、イチロウさんがおかしいと思って
かけなおしたんですが…」