救急車に同乗してどのくらいの時間が経ったのか。
外は見えず、閉じ込められた場所にいるのが辛い。
もともと閉所恐怖症気味なのに加えて、あの気丈な姑が
一言も口をきかず、身動きすらしないで横たわるのを見ているだけ。
ピッピッという継続的な電子音が、私の心臓に響く。
脇下に嫌な汗を感じる。
右へ曲がり、左へ曲がり…サイレンの音がふっと消え、救急車は停まった。
S病院の救急入口に向かって、担架で移動。
姑は、ただ目を閉じたまま。声もかけられず、右肩のあたりで一緒に早歩き。
暗い廊下から蛍光灯がまぶしい処置室に着くと、ナースさんに
「廊下でお待ちください!」と肩を押された。
うなだれて待合室の椅子に座っていると、携帯の端が光っている。誰かのラインだ。
『今、到着しました。お姉さんがどこにいるのかわからないんだけど…』
A叔母は、既に病院に着いていたらしい。
救急入口とは別の入口そばに女性の姿が3人。A叔母と、その長女・三女だった。
「おばさん!こちらです」
「あぁー、ヨウコさん。大変だったわね。姉さん、どうなの?」
泣きそうな顔のA叔母。…姑の、本当の姉妹だもんなぁ。
私も大変な事が起こってしまった、という顔で続ける。
「実は…イチロウさん(夫)の携帯に、お義母さんから着信があったんです。
ワンギリのように切れたので、イチロウさんがおかしいと思って
かけなおしたんですが…」
外は見えず、閉じ込められた場所にいるのが辛い。
もともと閉所恐怖症気味なのに加えて、あの気丈な姑が
一言も口をきかず、身動きすらしないで横たわるのを見ているだけ。
ピッピッという継続的な電子音が、私の心臓に響く。
脇下に嫌な汗を感じる。
右へ曲がり、左へ曲がり…サイレンの音がふっと消え、救急車は停まった。
S病院の救急入口に向かって、担架で移動。
姑は、ただ目を閉じたまま。声もかけられず、右肩のあたりで一緒に早歩き。
暗い廊下から蛍光灯がまぶしい処置室に着くと、ナースさんに
「廊下でお待ちください!」と肩を押された。
うなだれて待合室の椅子に座っていると、携帯の端が光っている。誰かのラインだ。
『今、到着しました。お姉さんがどこにいるのかわからないんだけど…』
A叔母は、既に病院に着いていたらしい。
救急入口とは別の入口そばに女性の姿が3人。A叔母と、その長女・三女だった。
「おばさん!こちらです」
「あぁー、ヨウコさん。大変だったわね。姉さん、どうなの?」
泣きそうな顔のA叔母。…姑の、本当の姉妹だもんなぁ。
私も大変な事が起こってしまった、という顔で続ける。
「実は…イチロウさん(夫)の携帯に、お義母さんから着信があったんです。
ワンギリのように切れたので、イチロウさんがおかしいと思って
かけなおしたんですが…」