荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

こだわりの巻。

2013年04月19日 | 聖なるブログに名も無きカテゴリを
先日、行きつけのチャイニーズ垢すりでスッキリした僕は、そこから2分、やはり行きつけのスナックの扉を叩きました。

先客は3組。年配男性の2人組とやはり年配の男性ひとり、そして僕と同年輩、すなわち40代なかばの男性。

やがて年配男性、都合3人が帰路につきました。時刻は22時。年寄りにゃおねむの時間です。

すると残った同年輩の男性が『あれを用意して』と志穂美悦子似のママになにやら命じます。

『はいはい』と悦ちゃんママは背後の棚から6Pチーズ大の小箱とライターと鼻毛用ハサミみたいなのを男性に差し出しました。

果たしてそれは、葉巻と専用ライター、そして吸い口を切るハサミだったのです。

葉巻は葉巻界の読売ジャイアンツ、【コイーバ】でした。

よくよく見ますと、彼の手元には僕が見た事もないスコッチのボトルが鎮座しております。

また、彼のシャツの袖にはボタンカバーがかぶっております。カフスじゃないとこがどこか可愛らしい。

『ははぁ、こだわり君なのね』僕は心の中でつぶやきました。

僕も30そこそこの時は安葉巻を随分吸ったものですし、比較的近年も【コイーバ】の細巻すなわちシガリロを吸っていましたから、そのお客のメンタリティーは分からんでもありません。

しかしながら、ショットバーやシガーバーならいざ知らず、東京のダウンタウンのスナックで【葉巻キープ】。

なんかずれてる様な気がしました。

聞けば、1本の葉巻を吸いながら、3杯のスコッチのロックを飲むんだそうです。

勿論、氷はまぁるいのがグラスに沈んでいます。

いやはやなんとも・・・。

僕も若い頃は生活全般こだわっておりました。

酒は○○じゃなきゃ、煙草は○○じゃなきゃ、洋服は○○じゃなきゃ、音楽は○○じゃなきゃ・・・、と。

しかし、歳をとって分かったのです。

こだわりがないのがこだわりだと。

生活のこまごました事にこだわる暇があったら、もっと別な事考えろよ、と。

本当にこだわるのは生き様だと僕は今、そう思っています。



コイーバには紙巻きもあるでよ。



『登山で一番重要なのは、登ることじゃなくて、執着しないということ』栗城史多(ニッポンの登山家・1982~)