今回は必殺仕事人シリーズの“華”である、殺しのテーマについて。
必殺マニアでない、フツーのヒトからすれば『あ~、パラパ~ってヤツでしょ』ってなもんでしょう。
確かにそう。
『パラパ~』です。
しかしながら、仕事人シリーズの『パラパ~』は各シリーズで異なるんですな。
もちろん、マニア間では常識であります。
そんな日常生活に何の役にも立たない常識・各シリーズの殺しのテーマについて、記したいと思います。
必殺仕事人【暗闇にひと突き】
原曲は金沢明子が唄う主題歌【浜千鳥情話】。
それまでの、歌謡曲に民謡を加味した異色曲と言えましょう。
お聴き頂ければお分かりの通り、例の『パラパ~』がありません。
いきなりスタートする、この殺しのテーマ。
秀が障子をブチ破って踊り込んで来るシーンが目に浮かびます。
ところが、ロック調のBGMは人殺しに相応しくない、というクソみたいな理由により【新・必殺仕置人】で使用された出陣のテーマ【仕置人・出陣(夜霧を裂いて)】に変更されたのは、とても残念。
同じ様な変更劇に【必殺渡し人】がありました。
新・必殺仕事人【暗闇に仕掛ける】
原曲は飾り職人の秀を演じる三田村邦彦が唄う主題歌【想い出の糸車】。
いや~、当時の三田村人気がしのばれます。
厳密に言えば『パラパ~』ではありませんが、サックスのイントロがインサート。
必殺シリーズ第1弾【必殺仕掛人】以来です。
印象に残っているのは、第2話『主水 気分滅入る』での秀&勇次の連携プレー。
勇次が三の糸で吊り上げた悪人を、梁で待っていた秀が刺す!
実に素晴らしいシーンでした。
もうひとつは映画【必殺!】での水上大ジャンプ。
お客さん、みんな笑ってました。
一方、ジャニタレ学芸会バージョンでウザウザ松岡が演じる経師屋の涼次もこの曲を使用。
石原興監督『新曲(鏡花水月)の殺しのテーマは用意しとる。【暗闇に仕掛ける】とどっちがええ?』
ウザウザ松岡『僕は新・仕事人の大ファンだったので【暗闇に~】でいきたいです』
という会話がなされたと聞きますが、絶対に嘘であります。
必殺仕事人III【暗闘者】
原曲は何でも屋の加代を演じる鮎川いずみが唄う主題歌【冬の花】。
仕事人シリーズにおける、僕のナンバーワンBGMであります。
この曲の良さは、何度も述べておりますので今回は割愛致しますが、いや~ホント良いな~。
『パラパ~』ではなく『パ~パラパパ~』ってトコが特に。
必殺仕事人IV【殺しの旋律】
原曲は【仕事人III】に続き、ふたたび鮎川いずみが唄う主題歌【花の涙】。
【暗闘者】が大好きな一方、この曲はあんまり好きではありません。
な~んか間延びしているすよ。
肝腎の物語もピリっとしてませんでした。
さすがに製作者サイドも、秀&勇次コンビに飽きたのかな~、と思わせる程。
仕方ありませんね。
必殺仕事人V【冥土の鈴か、地獄花】
原曲は藤田まことの愛娘・ 藤田絵美子が唄う【さよならさざんか】。
御大のコネをもってすれば、主題歌をガキに唄わせるなんて、ちょちょいのちょい、であります。
さてこの曲、良くも悪くも教科書通りの出来、といった印象。
『パラパ~』も、何のヒネリもありません。
華はありますが、面白味に欠けるかと。
新メンバー・竜&政コンビも奥行きがなく、つまらないキャラクターでした。
バラエティ番組や情報番組で“仕事人”と称されるアスリート・職人・動物が紹介される際の『パラパ~』は、この曲が多い様な気がしております。
必殺仕事人V・激闘編【闘う仕事人】
原曲はみたび鮎川いずみが唄う主題歌【女は海】。
これも大好きで、言わばナンバーツーBGMであります。
通常、殺しのテーマは各仕事人の殺し毎に、一旦BGMを終わらせる演出が多かったのですが、【激闘編】ではぶっ続けで流される演出が、多くなされておりました。
特に第2話『大仕事!大名殺し』は、必殺シリーズ史上最長と言われております。
まぁ、殺しの実行者が6人もいますからねぇ。長くもなりますわな。
通常の『パラパ~』ではなく『パラパパ~』ってイントロが出色。
ちなみに【女は海】は京本政樹の作詞・作曲・編曲です。
必殺仕事人V・旋風編&風雲竜虎編【殺しの旋風】
原曲は川中美幸が唄う主題歌【愛は別離】。
なぜ川中美幸が必殺仕事人シリーズの主題歌を唄うのか、理解に苦しみます。
かとうかずこの歌唱力がヒドかったのでしょうか。
鮎川いずみも大概でしたけど。
脚本の崩壊・視聴率の低下・スタッフ&キャストのやる気のなさ、といった諸々のファクターが“川中美幸に主題歌を唄わせる”という暴挙に帰結したのでしょう。
夜鶴の銀平のチマチマした殺ししか目に浮かびません。
歌謡曲ではなく、ド演歌にシフトしてしまった失敗曲。
とまぁ、徒然に記してみました。
残念なのは、復活編である【必殺仕事人・激突!】では新曲の殺しのテーマがなかった事。
せっかくの新作も、流用曲じゃ台無しってモンです。
もちろん、ジャニタレ学芸会バージョンもしかり、です。
最後に。
殺しのテーマではありませんが、仕事人シリーズといえば、この曲。
各仕事人がアジトでお金を受け、悪人を仕留めに赴くシーンに使用される【仕事人出陣】です。
マンネリ曲というきらいは確かにありましょう。
【激闘編】なんかは、折角渋い出陣のテーマがあったのに、コレにスイッチしちゃって残念至極でした。
しかしながら、やっぱり高揚する名曲ですよね。
印象に残っているのは、【必殺!III裏か表か】での主水奪還シーン。
秀や壱たちが、悪霊銭に忍び寄るシーンは最高でした。
さすが工藤栄一。
BGMの使い方をひとつとっても、石原興とは雲泥の差であります。
『人生の深い感動が込められている作品以外はやりません。お客さまに人生の感動を味わって頂けるものをやれば、必ずある程度のところまでいけます』浅利慶太(ニッポンの演出家・1933~)
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