一か月ほど前になります。年の瀬も押し詰まったころ、市内にある善導寺へ行きました。最寄り駅は久大本線の善導寺駅です。観光列車「ゆふいんの森」号が通過していきました。
善導寺は、浄土宗の開祖法然上人の直弟子だった聖光上人が開山したお寺です。浄土宗の総本山は京都知恩院。善導寺は大本山七ヶ寺の一つで、九州における浄土宗教化の拠点となっています。参道の両脇には塔頭や保育園、幼稚園があります。
手前の門は大門で、国の重要文化財です。この寺の前を時々車で行き来しますが、いつも参道を横目に通り過ぎています。前回、この参道を歩いたのは数十年前になります。
左から釈迦堂、本堂、庫裏書院です。二本の楠は県の天然記念物で、幹回りはそれぞれ20メートル以上あります。楠は特に九州に多く分布しており、各地の神社仏閣にはよく大楠が見られます。
この日善導寺に来たのは、この寺にちょっとした思い出があったからです。参道を進んでいくと正面に三祖堂があり、安産祈願の看板がたっています。
50年近く前になります。長男を授かった時にこのお堂に来ました。帯祝いの時、義母と三人で安産祈願にお参りしたのです。古い話で、おぼろげな記憶ではもっと小振りなお堂だった印象があります。僧侶ではなく、お婆さんに祈祷をしてもらったような気がします。あるいはお手伝いの小母さんだったのか。神社よりもここが良いとの義母の勧めでした。
本堂は国の重要文化財です。静かな境内も、行事がある時は各地から信者が訪れて来ます。この寺では大晦日に除夜の鐘を撞くことができ、年越しそばが振舞われますがコロナ禍で2年続きで中止になりました。
本堂の裏手に回ってみました。向こうは三祖堂。浄土宗の開祖善導大師と法然上人、聖光上人の像が安置されています。
帰ることにします。大本山らしく庫裏書院は大きな造りです。左手に勅使門があります。
宝物殿と三門です。立像は聖光上人。鎮西上人とも呼ばれています。手前には「筝曲発祥の地」碑があります。善導寺の僧賢順が、善導寺楽や寺院歌謡をもとに近世筝曲の源流である筑紫箏を編み出しました。筝曲界の登竜門といわれる賢順記念筝曲祭が毎年、久留米で開催されています。
帰り道の参道にて。右は市の保育園で、塀が途切れていて通用口があります。ここにも思い出があります。社会人になって初めてのクリスマス。ひげを生やしたサンタクロースに扮してこの保育園を訪問しました。仕事の関係でしたが、担いだ袋から園児たちに一人ひとりプレゼントを渡したものです。子どもは正直かつ遠慮のないもので、「ありゃ人間ばい」という声が聞こえてきました。
また別の日。うららかな日差しの下で廊下に座り込み、園庭で遊ぶ子ども達を男性の園長と眺めていました。すると、園長がぼそっと「君がうちの娘の婿になってくれたらなあ」とつぶやきました。学校を出たばかりの私の眼には初老に見えましたが、いま考えると中年の域を出ていなかったでしょう。その時は後年、安産祈願でこの参道を歩くとは思っていませんでした。穏やかな人柄の園長さんでした。
大門の先には門前商店街があります。町の名前も善導寺町と云い、お寺とともに発展してきた町です。
知恩院は昨年(京都)まいりました
先日【三潴の道の駅】も行き九州より様の
事を思っていました。大木町はあちらこちらに
行きやすいですね。
あの寺の大晦日の大鐘撞きは凄いです。
柳川は晴天でよかったですね。
暖かくなったら久し振りに掘割端を歩こうと思っています。