今年も鰐陵(石巻高校)柔道部後輩の鈴木くんからカレンダーを送っていただいた。浅井元義さんのスケッチによる「30年前の通り・横丁シリーズ」である。
「2017 石巻圏カレンダー 変化する力 心に残そう!わがふるさと 浅井元義スケッチ石巻Ⅳ ~30年前の通り・横丁シリーズ~」
12月「坂下通り」1986
1月「松川横丁」1986
2月「清水町通り(三角茶屋)」1986
3月「小野寺横丁」1986
4月「だいこん坂」1986
5月「石小裏通り」1986
6月「合庁裏通り」1986
7月「加山雄三通り」1986
8月「中町通り(渡波)」1986
9月「後町通り」1986
10月「穀町裏通り」1986
11月「門脇裏通り」1986
12月「日赤通り」1986
「だいこん坂」とは石小前から旧市役所、海門寺公園へと登る坂である。「加山雄三通り」は立町通りから羽黒山の石段を臨む通りで現在は味噌ラーメンの「大王(ターワン)」がある。
個人的に懐かしいと感じるのは「門脇裏通り」である。あの少しうらぶれた感じは昔からで、それでいて現在も「山形屋」さんの煙突が健在である。
そういえば小学校時代に、門脇の川沿いを友達と歩いていて、背後から乗用車がクラクションをけたたましく鳴らしながら走り去るのに遭遇して、思わず「ウルサイ!」と大声をあげたら、その車が急停車。Uターンして私たちの方向に引き返してきた。私たちは悪いことをしたつもりはないが、怖くなり慌てて走り出し、この門脇裏通りを疾走した覚えがある。
途中どこかの建物の駐車場に飛び込むと件の車は通り過ぎた。所謂「まいた」わけだが、こんな逃走劇は後にも先にもこの時だけである。
後日学校に暴言をはいた小学生がいると苦情が入ったらしく、先生からそういうことをした人はいるかときかれたので、私とその時一緒にいた友達は名乗り出て、自分たちは悪くはない。向こうが必要もないのにクラクションを鳴らし続けたのが悪いのだと主張した。先生は私たちの主張を認めはしなかったが、「やれやれ、しかたないわね」という感じで、私たちを咎めはしなかった。
記憶では、川沿いの通りから日和山側に通じる通りに入り、突き当たりを右に曲がり、工場のような建物に入った覚えがあるので、今グーグルの地図で確認してみるとやはり山形屋さんのあたりになる。
あのとき一緒にいたのは、同じクラスだったような気がするので、おそらく〇〇マサくんではなかったかと思う。
そんなことを思い出させてくれるカレンダーである。
鈴木くん、ありがとう。
皆様、良いお年を。
付記1 カレンダーは石巻日日新聞社を通して購入できるようですが、私のところに1部あまっておりますので、ご希望の方には無料でお送りします。メール、ツイッターもしくはコメント欄にご連絡ください。
付記2 今年聴いた曲。
付記3 今年飲んだお酒で美味しいものはたくさんあったが、特に印象的、発見があったものを5つあげると次の通り。ベスト1は圧倒的な旨さで、陶然となるとはまさにこの酒のためにあるとさえ言える。
今年の日本酒ベスト5
① 醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 EAU DU DESIR(希望の水)2015(愛知)
② 天吹 超辛口純米(佐賀)
③ 早瀬浦 純米(福井)
④ 早春 純米袋搾り中取り(三重)
⑤ 山形正宗 純米吟醸秋あがり(山形)
⑥ 姿 純米吟醸 山田錦 無濾過生原酒 中取り (栃木)も、こっくりとした素晴らしい味わいでした。
(20170104 ⑥追記)
付記4 今年見た映画。「ドクトル・ジバゴ」、「第七の封印」、「めまい」がベスト3。
「ドクトル・ジバゴ」はデヴィット・リーン監督の1965年米伊合作。題名は「ジバゴ博士」の意。絵が暗いイメージがあったが、実際は美しい映像とストーリー、そして音楽でした。ラスト・シーンがまた素晴らしい。
Doctor Zhivago (1965) Trailer
Doctor Zhivago (New Trailer 2015) - In cinemas 27 Nov | BFI release
Doctor Zhivago (9/10) Movie CLIP - Somewhere My Love (1965) HD
Doctor Zhivago (1965) -END- Can she play the balalaika? (It's a gift! Tanya's and Yuri's mother.)
「第七の封印」はインゲマル・ベルイマン監督の1957年のスウェーデン作品。下の画像の左が登場人物「死」である。表題は新約聖書のヨハネの黙示録から採られた。野苺を皆で食べ山羊のミルクを回し飲みするシーンが忘れられない。
「めまい」はアルフレッド・ヒッチコック監督の1958年米国作品。ホラー映画には全く怖さを感じないが、これは怖かったです。マニアック(偏執狂的)な不気味さです。
めまい Vertigo 1958
(20170103 上記の映画詳細と画像・動画を追記)
古い映画ばかりだが最近作では「闇のあとの光」(2012)が次点。寸評とともに今年見た映画を下記に示した。数えてみたら113本見ていた。*印は永久保存のお気に入りである。
「少女は自転車に乗って」( サウジ 2012)…イスラム文化の女性に対する過酷。
「潜水服は蝶の夢を見る」( 仏 2007)…閉じ込め症候群だけでなく筋萎縮症でも瞼の筋肉だけが動かせるらしい。
「ダイヤルMを廻せ」(米 1954)…なかなか楽しめるヒッチコックの小品。
*「ドクトル・ジバゴ」( 米・伊 1965)…愛の叙事詩。
「東京家族」( 日 2013)…中途半端なオマージュはいらない。
「戦場の小さな天使たち」( 英 1987)…イギリスの子どもは学校がきらいだ。
「おやすみなさいを言いたくて」( 諾・愛・典 2013)…世界では内戦で数百万単位で人が死んでいる。
*「めまい」( 米 1958)…ヒッチコックはサスペンスをここまで深め高めた。
「バルカン超特急」( 英 1938)…ヒッチコック初期。
「ナイル殺人事件」( 英 1978)…オリビア・ハッセーを見られる。
*「悲しみよこんにちは」( 米 1957)…分かり合えていることの悲しみ。
「あの日欲望の大地へ」( 米 2008)…子捨ての贖罪。
「風にそよぐ草」( 仏 2009)…ベテラン監督の醸す味わい。
「サンバ」( 仏 2014)…フランスにおける移民の問題。
「北北西に進路を取れ」( 米 1959)…ストーリーがいいかげんなのはきらいである。
「波止場」( 米 1954)…ブランドよりカザンの影。
「永遠のこどもたち」( 西・墨 2007)…死をも超えるほどの耐えられない絶望の問題は安楽死にも通底するように思えた。
「ワイルドバンチ」( 米 1969)…ペキンパーの古典。
*「グランド・ブタペスト・ホテル 」(独・英 2014)…ジェット・コースターのような痛快。
「白い肌の異常な夜」( 米 1971)…イーストウッドがこんな役を。
「ビュ-ティフル・マインド」( 米 2001)…芥川の「歯車」を思い出す。
「誰が為に鐘は鳴る」( 米 1943)…若きバーグマン。
「スターリングラード」( 独・米 1993)…第二次大戦の曲がり角。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」( 米 2014)…そこそこシュ-ル。
*「ペーパームーン」( 米 1973)…古典的完璧さ。
「アルゴ」( 米 2012)…イランアメリカ大使館人質事件における変装。
*「マルタのことづけ」( 墨 2013)…ラストの散骨シーン。
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」( 伊・仏 2013)…強烈な印象に残る日常。
「サン・ロレンツォの夜」( 西 1982)…スペインの夜の怖いお伽噺。
「アニーホール」( 米 1977)…素直になれない恋の切なさ。
*「父 パードレ・パドローネ」( 伊 1977)…時代の臭気。
「プライベート・ライアン」( 米 1998)…個人に頼るアメリカ国家。
*「第七の封印」( 典 1957)…登場人物に「死」が出てくる。あまりに大胆。面白い。
「フェーム」( 米 1980)…フラッシュ・ダンスとごっちゃになっていた。いい映画。
*「E.T.」( 米 1982)…ちゃんと見たらいい映画だった。
*「日本のいちばん長い日」( 日 1967)…こういう日が日本にあった。
「カサブランカ」( 米 1942)…あまり賛成できない。
「アパートの鍵貸します」( 米 1960)…ビリー・ワイルダーはラブコメみたいな作品でかなりブラックなことをしている。
「ジャスティス 」(米 1979)…アル・パチーノ。
「パリよ、永遠に」( 仏・独 2014)…パリはいかにしてナチスの手から守られたか。
「マグノリア」( 米 1999)…空から魚が降ることは実際にある。
「ミリオンダラーアーム」( 米 2014)…ウソみたいなホントの話。
*「大いなる勇者」( 米 1972)…雄大な自然の中で。
「山の郵便配達」( 中 1999)…父親の寡黙。
*「麦の穂をゆらす風」( 英・愛・独・伊・西 2006)…近代兵器とはまた別の戦闘の残虐。
「emma」( 英 1997)…クスッとなる。
*「お早よう」( 日 1959)…こんな単純な映画がこんなに面白い。小津。
「ミリオンダラー・ベイビー」( 米 2004)…ボクシングと安楽死の描き方に誤りがある。
「ビリギャル」( 日 2015)…家族を描いた良質な作品。
「ザ・ファイター」( 米 2010)…ボクサーの悩みはリング外に。
「巴里のアメリカ人」( 米 1951)…アメリカ人はパリが好きだ。
*「闇のあとの光」( 墨・独・仏・蘭)…生命の暴力性。
「サイダーハウスルール」( 米 1999)…堕胎について。
「サンドラの週末」( 白・仏・伊 2014)…どういう週末か。好きな作品。
「青春群像」( 伊 1953)…青春は過ちを犯すためにある。フェリーニ。
「裏窓」( 米 1954)…無理な設定。
「ライフ・イズ・ビューティフル」( 伊 1997)…父よあなたは強かった。
「ニューヨークの巴里人」( 2013 米・仏・白)…アメリの女優との再会。
「アーティスト」( 仏 2011)…今モノクロ無声を作ると。
「市民ケーン」( 米 1941)…映像の迫力。
「バベル」( 米 2006)…言葉で隔てられて。
*「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」( 2008 米)…収集もまた芸術。
「さらば愛しき女よ 」( 1975 米)…ハードボイルドの佳作。
「おとなのけんか」( 2011 独・仏・ポ)…食事時に見てはいけない。
「フランティック」(1988 米)…不穏感がいい。
「バニラ・スカイ」( 2001 米)…これがペネロペ・クルスか。
「プラトーン」 ( 1986 米)…戦争の中で起こる仲間内の戦争。
*「セブン・イヤーズ・イン・チベット」( 1997 米)…チベットがいい。
「エリン・プロコビッチ」( 米 2000)…まちがって再見したが面白く元気が出る。
「アリ」( 米 2001)…ムハマド・アリはFBIに目を付けられて試合会場に半分しか客を入れさせてもらえない時もあった。
「唐山大地震」( 中 2010)…中国の震災。東日本大震災で公開延期になった。
「オクラホマ! 」(米 1955)…ミュージカルだからストーリーは…。
「ブラジルから来た少年」( 米・英 1978)…B級映画の気持ち悪さ。
「ドラゴン・タットゥーの女」( 米・典・英・独 2011)…こんだけキーボード速く打てたらと思う。
*「なまいきシャルロット」( 仏 1985)…思春期してます。
「ニューヨーク冬物語」( 米 2014)…今年のワースト。
「ベニシアさんの四季の庭」( 日 2013)…静かな心の嵐。
*「ガス燈」( 米 1944)…ガスライティングは心理学用語にもなった。
*「革命児サパタ」( 米1951)…逆転現象がいい。
「あん」( 日仏 2015)…どらやきの餡。
「テルマエ・ロマエ」( 日 2012)…前半は日本映画史上屈指の笑える映画。
「祇園囃子」( 日 1953)…溝口の奥行きのある映像が素晴らしい。
「夏を行く人々」( 伊 2014)…プレゼントがロバ。
「海街dairy」( 日 2015)…女優陣の競演がいい。
「家族ゲーム」( 日 1983)…由紀さおりが出ている。ユーサク松田もだが。
「紙屋悦子の青春」( 日 2006)…黒木和雄監督の独特の作り。
「南太平洋」( 米 1958)…色の冒険が楽しいミュージカル。
「遠い空の向こうに」( 米 1999)…生徒を信じると生徒は伸びる。
「シンシナティ ・キッド」( 米 1965)…マックィーンがかっこいい。
*「6才のボクが、大人になるまで」( 米 2014)…子育てが終わった時、家族は。
「炎のランナー」( 1981 英)…意外に地味でいい映画。
「ショート・ターム」( 米 2013)…児童虐待の傷。
*「ナッシュビル」( 米 1975)…音楽の街を描いたグダグダ感がいい。
「独裁者と小さな孫」( 2014 喬・英・独・仏)…途中から腰くだけ。
「雪の轍」( 土 2014)…高潔さは時に人を傷つける。
「ガープの世界」(米 1982)…変わっているのが普通なアメリカ。
「セインツー約束の果てー」( 2013 米)…遅れてきたボニーとクライド。
「真夜中のゆりかご」( 2014 丁)…まじめ人間は得てして不まじめ人間に憎悪を抱く。
「ヴィンセントが教えてくれたこと」( 米 2014)…不良オヤジは必要。
「カポーティ」(米 2005)…作家としての業に押しつぶされる。
100
「コンドル」( 米 1975)…不条理感あふれる。
「いつか晴れた日に」( 米 1995)…オースティンの味わい。
「ベル ー 伯爵令嬢の恋ー」( 英 2013)…黒人の伯爵令嬢の運命。
「鰻の男」( 韓国 2014)…隣なのに日本とも中国とも昔から仲が悪い。
「アリスのままで」( 米 2014)…若年性認知症に女性がかかると。
*「トロッコ」( 日・台 2009)…隠れた名作。自然音が素晴らしい。
「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」( 米 2014)…アメリカにも少年合唱団がある。サントリーホールが出てくる。
*「スケアクロウ」( 米 1973)…フェリーニの「道」を思い出した。
「パリの恋人」( 米 1957)…オードリーが元バレリーナだったことを思い出させる。
「ラスト・サムライ」(米・豪・日 2003)…サムライの精神性と明治維新直後の日本の姿と西郷どん。
「ムーンライト・マイル」( 米 2002)…死者に報いるとは。
*「わが心のボルチモア」(米 1990)…さりげない日常こそ生。
「ショコラ」( 米 2000)…チョコレートの魔法だけでは十分でない。
以上。
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