大文字屋の憲ちゃん (当面は 石巻 地震) 

RIP 親父 けんちゃん 石巻 地震

こんなものを見た―映画「石巻市立湊小学校避難所」to 石巻 地震ありましたが大文字系は無事(119)

2012-12-01 18:13:26 | 日記

9月13日になるが新宿でこの映画をやっているというので見てきた。(全国を巡回上映しているので、今後も見られると思います。)

映画「石巻市立湊小学校避難所」のウェブ・サイト

震災時から避難所となった湊小での人々の声と生き様を描いたドキュメンタリー作品である。

床屋さん、ファストフード従業員、造船所経営者、建設会社従業員、ヒューマン・ドキュメントというキャッチがついているが、それはハート・ウォーミングなものだとは限らない。

床屋さんは、電気も水もない中でボランティアで散髪を始める。働ける、何かの役に立つことできる。それが生きていて張り合いになると言う。

ある女性。大量の支援物資の衣類を選びながら「ただで送ってくれたから何でも喜んで受け取らないといけないの。そんのいや。いらないものははいらない。」と言い、ボランティアの合唱隊が体育館で「ふるさと」を合唱していると、「何考えてんの! ふるさとって帰るふるさとのある人が歌うんでしょ。ありえない。」と言う。

70代の女性と小学4年生の女の子が友だちになる。女性はやがて仮設住宅に当選する。「私にとっては嫁入り」と喜ぶが、それは女の子との別れでもある。

女の子は避難所のアイドルになるが「最近になって泣くことができるようになった。感情がもどってきた。」周囲の大人の頑張る姿を見て、自分は悲しい顔をしてはいけないという気持ちになっていたのだ。

デイケアが必要な老人。バスタブに入っての入浴ができなかったが、ボランティアの青年に介助されて数十年ぶりに入浴することができたことを喜ぶ。

こういったエピソードを抑制的に描き編集していると思う。できるだけ現場での見たまま、ありのままの空気感を伝えようとしている。

たしかに美談もあるけれど、それで煽情するのでなく、避難所生活の臨場感を大切にしようとしている。「被災者→かわいそうな人たち」というくくりではなく、ある日突然地震と津波に襲われて、家や仕事や街や大切な人を失った普通の人々が再生していく様を。

ある知人のブログで、ボランティアで歌を歌っているのを聞いていた子供が、「歌なんか聞きたくない。歌なんかいらない。」と叫んだという話を読んだ。その子どもがどんな気持ちでそれを言ったのか、勿論私には分からない。ただ、入れ代わり立ち代わりボランティアの方々が「被災者の心の支援」という名で訪れるのを見ていて、その子がこう思ったとしてもおかしくはない。「この人たちには帰るところがある。そういう人たちが家の無い私たちのところに来て歌を歌って自分の家に帰っていく。私たちに必要なのは歌ではないのに。」と。

ボランティアが偽善であるとか、支援のミスマッチとかいった議論をするつもりはない。ただ、私がこの話を聞いて思い出したのは、アフリカのソマリアの或る部族の話である。その部族は、誰かが贈り物をすると、贈った側が受け取った側に「ありがとう」と言うのである。日本では、いや、その部族以外の地球上の大多数の人間はその反対の習慣を持っている。
しかし、その部族は「もらってくれてありがとう」というような挨拶をするのだそうだ。(たしか西江雅之氏の「旅人からの便り」という本に載っていた話だったと思う。)

「贈る」ということは、何も「贈る」側だけで成り立つわけではない。贈られる側がいなければ、「贈る」という行為は成り立たない。そして、贈られる側には贈り物を拒否する権利があるだろう。だから、贈る側は贈り物を受け取ってもらえなかったとしてもがっかりすべきではないのだ。それはその贈り物が受け取る側にとって必要のないものであっただけなのだから。だからそうではなくて、贈り物を受け取ってもらえたことに贈る側は感謝すべきなのだ。(…恋愛とか結婚だってそうでしょ(笑。)

電車の中でお年寄りに席を譲ろうとしたら「年寄り扱いするな」と立腹されたというのはよくある話だ。しかしだからといって、そういう行為をやめるべきだということにはならない。ただ、贈る側に見えないものが受け取る側にあることを一つ知ることができたということ、そのことによって支援のあり方も変わっていくと思うのだ。

 

付記1
上映した映画館は新宿K'sシネマ。比較的新しいのか中がきれいで、こじんまりしているがスクリーンが見やすく席もゆったりしている。快適な映画館であった(新宿駅南口徒歩2-3分)。上映最終日だったからだろうか、満席であった。K'sシネマのサイトはこちら。→新宿 K’s cinema

映画「石巻市立湊小学校避難所」 at 新宿K'sシネマ

付記2
先日紹介した Jervy Hou のピアノのpart2。→piano songs by Jervy Hou part 2


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