ホタル祭りがあるというので仕事帰りに寄ってみた。
20160716 せたがやホタル祭りとサギ草市
20160716 せたがやホタル祭りとサギ草市
小田急線の豪徳寺駅で降り、50mほどのところにある山下という駅からチンチン電車の東急世田谷線に乗り、2駅めの上町(かみまち)という駅で降り、歩いて5分ほどのところに世田谷代官屋敷があり、そこで「せたがやホタル祭りとサギ草市」が催されていた。
祭りの概要と「螢とさぎ草伝説」については次のリンクをご覧いただくとして…
ホタルで思い出すのは、「蛍三七子」(ちばてつや作)である。
ぐうたらで呑兵衛の大学生が貧乏旅行の最中、田舎町の不良少女のケンカに巻き込まれて大怪我をし、少女の家に逗留することになる。少女の家は和紙を漉く仕事で生計を立てているが、意外なことに少女は蛍を育てていた。溺れた自分を助けて命を落とした精薄の兄がホタルを大事にしていたことから、少女は蛍の生息地を保護していたのだ。しかし蛍の育つ清流がダム建設のためにつぶされることになる。大学生は少女と恋に落ち、ダム建設を阻止しようとする。ラストの蛍の乱舞が印象深い。
ちばてつやの作品の中でも名作の一つであり、私の蛍のイメージは小学生時代に読んだこの作品によって決定されたといっていい。
もう一つ蛍で思い出すのは「水無月の夜」(井上陽水作)である。一番の歌詞だけ引用しよう。
****
螢狩りから もどった君は
足も洗わず 籐椅子に
川むこうには たくさんいたと
ゆかたのすそをぬらして
水無月の夜 送り火の前
****
水無月の夜(井上陽水) cover:numa chan
上の動画はカバーの良作。興味のある方はオリジナルを聴いてみるといい。とてもダイナミックで深みがある。
(20220413追記 オリジナルがあったのでアゲておきます。
井上陽水 -水無月の夜
)
歌でいえば、もう一つ、幼い頃から馴染み深い「ほーほーほたるこい…」であろうか。水が「あまい」という意味が子どもの頃は分からなかった。
ほたるこい+Photo.wmv
美しく儚い。ロマンチック。その乱舞は生命力の奔流。(蛍の明滅は交尾のサインと言われる。)それが私にとっての蛍のイメージだ。
世田谷で見た蛍は、いくつかの観賞用の箱、といっても高さ2m程あるものだが、その中に収められたものを網越しに見るもので(ドーム状のテントを張って、もう少し大きな空間で蛍を放っているスペースもあった)、蛍の明滅や飛ぶ様子を見ることはできるが、野外を乱舞する姿は望むべくもない。いわば虫籠に入ったカブトムシを見るのと同じである。
都会で蛍を見るとなれば、こういうところであろう。
しかし私は蛍の姿を愛でる機会を与えてくれたことに感謝する。そして蛍という繊細な生き物を育てる仕事に敬意を表する。とりわけ子どもたちにとってこの経験は大きな意味をもつだろう。
私の蛍のイメージは満足させられなかったが、世田谷の蛍は、蛍の乱舞を見てみたいという私の気持ちを一層強くさせてくれたのである。
付記1
今年も川開きに帰省する予定です。
付記2
「蛍三七子」では、焼酎といえば「芋」、というイメージも植えつけられた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます