「けやぐの道草横丁」

身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳や歌への視点
「けやぐ」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです

#16.砥部焼 工藤省治陶磁器集(3)

2013年06月18日 | 工芸
 25年ほど前わが家にやってきた尺の大鉢。
 落ち着いた色合いの三つの染付唐草。見込みの素地には、細かな櫛の引っ掻き文様が地紋となって廻らされています。

 サラダの材料の彩が映えます。震災後、三陸で教えられてきた、「生ワカメ」をショウガでいただくサラダの緑と黄色もさらに美しくなります。食卓の照明が加わるとますます鮮烈になります。

 夏場の冷やしうどん、ソーメン、冷麦は冷たさを体で感じながら、冬場の釜揚げは大容量の冷めにくさ。
 パスタやワンタン、やきそばや炒め物、何でも食べたいように、みんなで「取り分ける」ことを教えてくれます。

 わが家のうつわ仲間のリーダー的存在。日々のくらしの道具たちに一本の大黒柱があることは、生活にある種の「張り」を与えてくれます。

 食物を装わずにうつわだけ眺めていても飽きません。

 それに、「丈夫」です。東京⇔盛岡間を6・7回、資料として往復したにもかかわらず、はじめにわが家にやってきたときと少しも変わりません。

 親指の爪で弾くと、いい音が長い余韻となってフェイド・アウトしていきます。

 物静かで凛とした包容力に「父性」を感じます。

 いつか「日本酒」をナミナミと注いで、柄杓でワイワイやってみようと思っています。

 工藤省治さんの手しごとが、「けやぐ」になってくれたことに心から感謝しています。


王様のうつわ寡黙な底力  蝉坊



▲ 画像データ:
染付三ツ割唐草文鉢/砥部焼/愛媛
工藤省治/梅山窯
径=305mm/高=80mm
高台径=150mm/高台高=17mm
「工藤省治陶磁器集」37P・#46所載


《 関連ブログ 》
● けやぐ柳会「月刊けやぐ」電子版
会員の投句作品と互選句の掲示板。
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● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
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