「したたかな植物たち」春夏編2019/3/8
多田多恵子
ーあらすじー
植物は、動けないからこそ、生きのびるためのテクニックを磨いてきました。
たとえばカタバミは、科学テクノロジーを駆使した防衛を発達させ、
花は「光センサー」を、葉は「撥水加工」や「開閉装置」を装備。
タネは「振動感知器」をそなえます。
まさにスペック最強の植物なのです。
スミレ、ネジバナ、マムシグサなど、身近な植物のあっと驚く私生活と巧みな戦略を、
美しいカラー写真を交えて人気の植物学者が解説。
道端のワンダーランドへご招待!
☆感想☆
在来種のカントウタンポポと外国から輸入されたセイヨウタンポポの話から始まりますが
驚くことにセイヨウタンポポは「無融合生殖」という
雌しべの体細胞が減数分裂や受精という過程を経ず、
そのまま育って種子になるので、単独で子をつくってしまうそうです。
それに対して在来タンポポは、雌しべが作った卵細胞と雄しべが作った精細胞が合体して
はじめて子どもができるので、虫が別の株の花粉を運んできてくれないと結実できない。
都市化が進んで緑地面積が小さく分断されたため、急速に数を減らしてしまったそうです。
春になるとあちらこちらで咲くタンポポですが、
さて私が今まで見てきたものは、どちらだったのだろうか?
在来タンポポだったらいいな♪
でも子供時代に見たタンポポはきっと在来種だったと思う。
まだ、道路も舗装されていなかったし空き地も多かったしね♪
🌸
野生のサクラソウとマルハナバチの関係については、
サクラソウの自生地周辺の開発や農薬散布により、
マルハナバチが姿を消し、花粉の交換が途絶えてしまったのだそう。
多年草とはいえ、個体数は年々減少していく一方とのこと。
花と虫との関係って本当に深いのだと改めて感じました。
それと同時に土地の開発や農薬を使うという事が、人間にとっては都合のいいことでも
花や虫にとっては迷惑な話なんだと、なんだかやりきれない気分になりました。
「植物だって寝る子は育つ」の章では
夜の公園を懐中電灯持参で散歩すると、さまざまな植物の寝姿を観察できるのだそう。
カタバミは傘をすぼめたように垂れて寝て
シソやオナモミ、カラムシは葉をだらんと垂らして眠るとのこと。
ヨモギのように立って眠る葉もあるそうです。
これを読んで、今度私も懐中電灯持参で、夜の公園を歩いてみたくなりました。
(でも、夏はやぶ蚊がたくさんいるから、涼しくなってからですね…)
全体を通して感じたのは、花と虫や菌類、鳥などとの関係は
共生であったり寄生であったり、時にものすごく残酷に見える関係もありましたが
自然界ではそれが当たり前で、すごくうまくできているシステムなんだなぁと感心しました。
これからはまた違った目で、植物たちを観察してみようと思います。
手毬咲きのアジサイ
人の目には美しいが、実を結ぶことはない。