佐保川地域ふれあい会館で、第1回歴史教室を開催しました.講師に奈良文化財研究所の小野健吉副館長を迎えて『平城宮・京そして庭園』と題して講演を頂きました。
40名の定員に、10名しか申込がなくどうなることかと心配しましたが、41名の方が参加くださりホット胸を撫で下ろしました.
講演の内容は、藤原京との比較や、平城京への遷都の理由や、平城京の都城内の説明。そして、先生の専門分野の左京3条2坊宮跡庭園や、東院庭園の話を頂きました.
1300年前の事を知るのに、発掘された木簡や土器等から推測するとともに続日本紀、懐風藻、万葉集など文献や詩歌の中から皇室や貴族の生活を読む事ができるという事が面白かった。
例えば、宮跡の西北にある『松林苑』について、続日本紀に「天平2年3月3日 天皇、松林宮に御して、王臣五位巳上を宴す。 文章生(もんじょうしょう)等を引きて曲水を賦せしむ。」天皇が五位以上の貴族を招いて松林苑で宴会を行い、庭園の曲水で歌を詠み楽しんだという生活を読む事ができた事や、大伴旅人が、太宰府の長官として任務を負えて平城京の我が家に帰って詠んだ歌に『吾妹子が 植えし梅の樹 見るごとに 心むせつつ 涙し流る(万葉集)』
旅人が、太宰府に派遣されている間に妻を亡くし、一人我が家へ戻ってみると妻が植えた梅の樹を見て、妻を思い出し、涙を流すという歌の中に、当時の貴族の家の中に梅の木が植えられていた事が分かるという。
その他、いろいろとおもしろい話があった。終了後の参加者も良い話が聞けてよかったという声をたくさんいただいた。ほっとした1日だった。
次は7月12日庄田先生による『平城宮遺跡公園散策の進め』と題して見所の紹介があるのだろう。