機能は東京国立博物館・表慶館へ。
「横尾忠則寒山百得展」。
会期は9月12日~12月3日。
横尾忠則は国内外で高い評価を受ける日本を代表する現代美術家。
今回の展覧会は、寒山拾得を横尾独自の解釈で構築した寒山百得。
寒山拾得は、中国は唐の時代に生きたとされる伝説の詩僧・寒山と拾得。天台山国清寺に住み豊干禅師に師事したといわれる。
彼等はやがて禅の最高境地とされる脱俗すなわち風狂に達した。
ある時、役人が国清寺を訪れて二人に礼をつくした挨拶をしようとしたら、二人は大笑いしながら姿を隠し二度と現れなかったという。
そして、山中いたるところに300編余の詩が残されていたという。
疫病下の横尾は寒山拾得が達した境地をたどるかのように俗世から離れたアトリエで制作に没頭した。
便器を描くとデュシャンの便器と結び付けられるけど、僕の便器は寒山拾得の寒山がいつも手にしている経典の巻物をトイレットペーパーに変えたものだ。
寒山拾得はそのものが霊体じゃないですか。Yの寒山拾得は涅槃じゃないのかな。
寒山拾得というのは実在しているのではなく教理なんじゃないかな。そこに流れているのが霊山の実態じゃないかな。
キャンバスの日付をみると、毎日のようにひたすらに描き続けている横尾がいる。
小さなドローイングとかではない大きな作品を毎日のように描き続ける驚異は寒山拾得が時空を超えて乗り移ったのかもしれない。