国立新美術館。
企画展示室1Eでは「遠距離現在 Universal / Remote -現代美術が観測した、個人と社会の距離感-」開催中。
会期は3月6日~6月3日。
グローバル化に伴う様々な問題からくる漠然とした不安定を抱えたまま、突然に疫病によるパンデミックに覆われた。
人の移動は停止したけど、資本と情報は止まることなく、逆に資本や情報の本質が見えてくるようになった。
この展覧会は、「Pan-の規模で拡大し続ける社会」、「リモート化する個人」を軸に、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んだ8名のと1組の表現を通じて、私たちのいる世界の個人と社会の距離感について考えていく。
という。
出展作家は、井田大介、徐冰、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ+ヒト・シュタイエル+ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子。
地主麻衣子。
地主麻衣子(1984~)は神奈川生まれ。東京在住。映像、インスタレーション、パフォーマンス、テキストなどを組み合わせた自らの作品を「新しい種類の文字」と呼ぶ。
今回の作品は、地主の尊敬するチリの詩人ボラーニョが最期をすごしたスペインの町へと旅に出た映像作品。
加工され、時には捏造されることすらある、ネットでは伝わらない生の旅人の感触を伝える試み。
ティナ・エングホフ。
ティナ・エングホフ(1957~)はデンマーク生まれ。コペンハーゲン在住。
福祉国家の構造的暴力等の社会問題に焦点をあてる。
今回の展示は代表作〈心当たりあるご親族へ〉。
日本でも問題になることが多くなった、孤独死。
デンマークでは死亡者の親族が見つからない場合は「心当たりあるご親族へ」という新聞記事を通じて親族をさがすという。
その記事を目にしたエングホフは、孤独死した人たちの部屋を撮り始めたという。
いかにもという画像が多いけど、一見整然とした部屋の方がひときわ伝えるのだった。
ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ+ヒト・シュタイエル+ミロス・トラキロヴィチ。
ヒト・シュタイエル(1966~)はドイツ・ミュンヘン生まれ。ベルリン在住。
デジタル技術や資本主義といった社会的条件の中のイメージの生産と消費に関する映像作品を制作。
今回の〈ミッション完了:ベランシージ〉は3人の共同制作。
SNSやネットでは365日24時間、見たことあるような人たちが、その人たちが一押しらしいブランドやら店やら着こなしやらなんやらを発信している。
その目的はわかりきったことだけど、盲目的に受け入れてしまう受け手が多いことも事実。
骨と天使の羽がリアルに物語る。