国立新美術館。
企画展示室1Eでは「遠距離現在 Universal / Remote -現代美術が観測した、個人と社会の距離感-」開催中。
会期は3月6日~6月3日。
撮影可能。
グローバル化に伴う様々な問題からくる漠然とした不安定を抱えたまま、突然に疫病によるパンデミックに覆われた。
人の移動は停止したけど、資本と情報は止まることなく、逆に資本や情報の本質が見えてくるようになった。
この展覧会は、「Pan-の規模で拡大し続ける社会」、「リモート化する個人」を軸に、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んだ8名と1組の表現を通じて、私たちのいる世界の個人と社会の距離感について考えていく。
という。
出展作家は、井田大介、徐冰、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・カゴ・ガゴシツェ+ヒト・シュタイエル+ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子。
井田大介。
井田大介(1987~)は鳥取生まれ。東京在住。彫刻・映像・3DCGなどを用いて、目に見えない現状の社会構造や、そこに生きる人々の意識や欲望を視覚化している。
3点の映像作品。
紙飛行機がふわふわと、けど軌道をもって、ガスバーナーの上を飛ぶ。
紙飛行機のバランスが崩れたり、ガスバーナーの炎が急に強くなったりしたら、たぶん。。。
おばさんはガスバーナーの数と値段を掛け算しちゃったりなんかする。トランギアのシングルガスバーナーだったらとか。。。
徐冰。
徐冰(1955~)は中国生まれ。ニューヨークと北京に活動拠点を置く。
初の映像作品。〈とんぼの目〉。
ネット上に公開されている監視カメラの映像約11.000時間分から編集した長編映画。
監視カメラ映像だけで物語ができる。
それは何を意味するのかと考えさせられてしまうのだった。
トレヴァー・パグレン。
トレヴァー・パグレン(1974~)はアメリカ生まれ。ベルリンとニューヨークを拠点に活動。
地理情報と軍事機密、マシンビジョン、監視と通信システム、AIによる自動生成イメージなどをテーマに制作。
〈上陸地点〉。
〈海底ケーブル〉。
〈幻覚〉。
AIに物や人や空間などを学習させるためのトレーニング・セット。
パグレンは、識別器(ディスクリミネーター)と生成器(ジェネレーター)をつくり、ディスクリミネーターがジェネレーターによってつくられる画像を本物か偽物かと識別していく形式のトレーニング・セットでAIに学習させたという。
ふたつのAIは何万回もやりとりを重ねて進化していく。
その過程でAIが見ている光景が人間の目の前に繰り広げられる。
ダンテの神曲等をテーマにしたようだが、AIはこんな風景を見ているのか。
それともヒトの脳を反映すれば本質はこうなのだろうか。
ヒトが気の遠くなるような長い長い年月で今の脳を獲得したということ、それをほんの短い期間でAIに学ばせようといているということ、を、忘れてはいけないのかもしれない。