東京オペラシティアートギャラリー。
「野又穣 Continuum 想像の語彙」。
野又穣(1955年~)は東京藝術大学のデザイン科を卒業し広告代理店に就職した。デザイナーとして働くかたわら絵を描き続け、1986年に初個展を開いた。
いつの時代のものとも、どこにあるのかもわからない、実に謎めいた建造物が特徴。
描き続けるうちに、謎めいた建造物にだんだんと人工的な羽や帆が融合するようになる。
これってバベルの塔か?
2005年の作品。「都市の肖像」。
なんだろ?
この廃墟感。
何か予感していたわけでもないのだろうけど、そして2011年の東日本大震災。
野又は衝撃のあまりに一時キャンパスにむかうことができなくなったという。
野又も私も第二次世界大戦敗戦のどん底を知らない世代だけど、バブル崩壊もあれば阪神淡路大震災も東日本大震災もあった。
ただ、東日本大震災が起きた時、自分が生きている間にこれ以上に酷く惨いことはもう起きないだろうと思ったことも事実だった。
けど、疫病に戦争に気候変動にこれでもかこれでもかと押し寄せてくる。
けど、あちこち観光客があふれ、商品があふれ、娯楽があふれ、普通に医療にかかれ、電車やバスは時刻通りに動き、要はそれらに必要なお金さえあれば特に生活に不自由を感じることはない。
けど、どこかで奈落と隣り合わせと感じているのかもしれない。
これからの野又はどんな作品を描いていくんだろ。