昨日は曇り後雨な空模様だったけど、コロナ禍からの解放ムードの日曜日はどこもたくさんの人。
正直に言えば、上野の森で昼飯難民になりかけてあそこなら間違いなくありつけると向かった東京藝術大学大学美術館のカフェ。
その前に陳列館の展覧会に寄る。
「どの鏡を舐めたい?」-デザインにおける虚構と現実の狭間-。
会期は10月18日~11月7日。
2016年のチェコで開催されたブルノ・ビエンナーレを皮切りに欧米諸国を巡回してきたプロジェクト「Which Mirror Do You Want to Lice?」。
フェイクニュースやイメージ編集で正しさの定義が揺らぐ今日、デザインが生み出すのは虚構か真実か。
このプロジェクトの日本版が東京藝術大学大学美術館陳列館を舞台に展開する。という。
日本版のコンテクストは日本及び教育。
実現しなかったデザイン案や実在しないアーティストの作品などを集める。
1階ではタイプライターの音が響く。
打ち出されるのは、アームストロング氏とオルドリン氏が月で殉職した場合のパターン。成功パターンと二通りが用意されていたのか。
虚構なのか真実なのか。
よくわからないオジサンは故障中。
本来なら音声が流れるらしい。
スノーデン氏によって存在を暴露された裏ライターへのインタビューを音声加工してるという。
虚構なのか真実なのか。
2階。
来場者が投票する。
8枚の絵の中に本物の複製画と藝大生の創作が混じっている。
どれが本物の複製画でしょうか?
実は、本物の複製画、本物その物が存在して存在してないのだ。
Bridge No.114。
ナット・テイトという伝説の画家が描いた伝説の作品。
と、伝記を書いたのはスコットランド人作家のウィリアム・ボイド。
ナット・テイトなんて画家は存在していなかった。ナット・テイト作と発表された作品はウィリアム・ボイドが描いていた。
虚構なのか真実なのか。
受付にいた女の子たちは自分たちの存在は特別なんだと思っている感じがありありと出ていた。天下の東京藝術大学の学生。こんな婆さんに何がわかるんだという顔をしていた。
でも私だって彼女たちくらいの年代の時はこんな爺さん婆さんに何がわかるんだと思っていた。
でも私が彼女たちの頃はネットなんて一般的じゃなかった。確かに研究所や企業レベルでは普及し始めていたけど、今のように掌サイズの液晶に触れるだけで子供をふくめてありとあらゆる人がありとあらゆる情報とつながるという未来を予測できていた人はどれくらいいたのだろうか。
世の中は地に足のついた生き方をしている人が大半だったから、虚構に惑わされても帰る場所があった。
今は大人そのものが揺らいでいる。
そういえばこの間も写真を撮っていたら見知らぬおじいちゃんから声をかけられた。
あんたFacebookはしてるかい?
おじいちゃんはFacebookの黎明期から参加してることがとても自慢のようだった。時代に置いて行かれない最先端の自分にとても満足しているようだった。
Facebookはもう・・・
ま。
虚構なのか真実なのか。