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2024・3・18 上野の森美術館 VOCA展2024「現代美術の展望-新しい平面の作家たち」。肥後亮祐。前田春日美。松延総司。松元悠。宮内裕賀。山下耕平。

上野恩賜公園。

上野の森美術館では、VOCA展2024「現代美術の展望-新しい平面の作家たち」を開催中。
会期は3月14日~30日。
VOCA展は、1994年に始まった平面美術の領域で有望な若手作家を奨励する展覧会。
今回で31回目。
全国の美術館学芸員、研究者などから推薦された40才以下の31名から、5名の選考委員によって、VOCA展1名、奨励賞2名、大原美術館賞1名が選ばれた。

肥後亮祐。
肥後亮祐(1995~)は北海道生まれ。
京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻構想設計修了。同大同院同科博士課程美術専攻構想設計領域在籍。
作品名:絵画原器
   1科学の力を借りた無限に複製可能なもの
   2第一回国勧業博覧会美術館の図(1877年)
   3毛髪式温湿度計
   4Musée de Noir(1925年)
           5サンディア国立研究所の報告書(1993年 )
   6東立抗人ギブルモニター映像・日本原子力研究開発機構幌延                      
    深地層研究センター東立抗人ギブル
   7岩盤(300万年前)日本原子力研究開発機構幌延地層研究
    センター深度250m調査坑道
   8PEM方式模型、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究セン
    ター地層処分実規模試験施設
肥後は、意識の有無に関わらず個人や社会が作り出してきた幻想や虚構が共有されていく「現象」と「存在」について考察する作品を発表しているという。
美術館の機能や分類を調べるうちに中原実の「絵画原器」という構想に出会ったという。
一方で、10万年は人体への影響が持続するといわれる高レベル放射性廃棄物を隔離するための施設で、未来へ託すための非言語的メッセージを残すことが構想されていると知ったという。




前田春日美。
前田春日美(1991~)東京都生まれ。
武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。同大大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース修了。
作品名:Harness
素材:アクリルガッシュ、アルミ・アクリル板、モニター・映像

アクリル板の奥に拡がる自室や自宅周辺の風景から1本の線が選ばれ、絵筆で形を閉じるまで描かれている作品。


この線は、移ろいゆく外部環境と容易に破壊されそうな自身の存在をつなぎとめるハーネス。

松延総司。
松延総司(1988年~)は熊本県生まれ。
京都嵯峨美術短期大学大学部美術学科卒業。
作品名:Pattern of Dark #49(wall)
              Pattern of Dark #2(wall)
素材:インクジェットプリント、紙・木材


-意識されず、打ち消されているけど、日常で繰り返されてるさまざまなグレーの領域があるという当たり前のことを-問うてるはずだ。

と、いう。


松元悠。
松元悠(1993~)は京都府生まれ。
京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻版画修了。
作品名:サラバ化物(御徒町のパジャマ3枚、やっぱりやめよう、先生大丈夫入るよ)
素材:リトグラフ、BFK紙、切符
松元は京都で法廷画を担当してる。
今回の作品の題材は、ALS患者嘱託殺人の犯人とされる元医師が、母親と共謀して父親を殺害したとされる事件だという。
印象に残った「家族」のエピソードを語った3つの証言が作品になっている。



宮内裕賀。
宮内裕賀(1985~)は鹿児島県生まれ。
タラデザイン専門学校卒業。
作品名:生かされていくこと
素材:イカ胡粉・アラビアゴム・セピアインク、カンヴァス
宮内は、約20年間イカだけを描き続ける「イカ画家」。
イカを描くために絵を描いているという。
毎日毎日イカを食し、イカ墨をインクとし、甲を漂白・乾燥させて胡粉に加工する。
この作品は、アオリイカの共食い。
イカの共食いに人間社会の過酷な在りようが重なる。
宮内は、いつか自分もイカに共食いされ、死因イカ、としてイカと一体化することを目指しているという。
命のつながり。

山下耕平。
山下耕平(1984~)は兵庫県生まれ。
佐賀大学文化教育学部美術・工芸課程デザイン専攻卒業。
作品名:自室の模様
素材:アクリル・ジェルメディウム、ラワン合板・パネル
山下は、人物画を描き続けているという。
しかし特定のモデルはいない。自己の内面を探り開示する自画像のようなもの。
今回の作品の主題は、山下の一番大事な場所、実家の1室という。
アトリエとしてずっと使用してきているが、そこは姉の部屋だという。
十数年も使用しながら、いつまでも借り物意識が消えない自画像。


美術館を出る。



グッとくるものもあればワケのわからぬものある。
わけのわからぬものでも後からありゃ鋭かったな思うこともある。





  
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