その人は一石橋におられた。この間は常盤橋に引っ越しておられた。いつもいつも座って空き缶をコンコンと地のコンクリに打ち付けておられる。いわゆる自由に暮らす人である。ある時その人の柱時計をみて驚いた。正確な時を刻んでいるのである。携帯電話で事足りるようになってから私はずいぶんと久しく腕時計をしてない。いつの間にかその柱時計をあてにするようになっていた。