「ねぇ、本当は今日キムジスと一緒に数学の問題を解いてるチュンサンを見て、嫉妬しちゃった。きっととびきりの笑顔で笑ってるんだろうなって、我慢出来なかった。その笑顔を他の子に向けないでほしいなって、、、わたしわがままだよね」
「その笑顔ってこの笑顔?」
チュンサンはユジンの顔を覗きこんで、とびきりの笑顔を見せた。
「ユジナって意外にヤキモチ焼きなんだな」
「もう知らなぃっ」ユジンは立ち上がって窓の外を見た。
外はいつの間にか雨が降っていた。窓ガラスの上をひさしから垂れてくる水滴を見ながら、ユジンは思った。この雨が降り続いて、ずっとここにいられればいいのに。
するとそんなユジンをチュンサンは後ろからそっと抱きしめた。
「、、、ユジナ、実は僕もねユジナが他の男に触られたり触ったり、楽しそうに笑ったりするとすごくイヤなんだけど、、、わがままかな?」
「他の男?!例えば誰?」
「、、、例えば、、、キムサンヒョクとか、、、」
「サンヒョク?!うふふ。分かったわ。気をつける。チュンサンも意外に焼きもちやきなのね。」
「うん、ユジナ知らなかったの?僕は焼きもちやきなんだ」
そう言うとチュンサンはユジンを抱きしめる腕の力を強めた。
しばらくの間、揺れるような二人の影が窓際にただずんでいた。
夕暮れ時、チュンサンの傘をかりて、2人は寄り添うようにバス停を目指した。今度は2人ともしっかりと手を繋いで。ユジンの妹のヒジンが帰って来るので、急がなくては、とあせる気持ちでいっぱいだった。
ユジンは後ろ髪を引かれるような気持ちで、バスに乗り込んだ。窓から後ろを見ると、いつまでもただずんでいるチュンサンが見えた。淋しい。この気持ちが恋なのだろうか。初めての感情に戸惑いながら、手の中の黒い傘を見てユジンは切なげなため息をついた。