「俺、お前のことって言った?自信過剰だな」と笑った。
ユジンがえっ?という顔でチュンサンを見つめると、あのとびきりの笑顔でこちらを見つめている。
「もうチュンサンたら」ユジンはその目に吸い込まれそうな怖さを感じて、肩の辺をバシッと叩いて照れ臭さをごまかした。
そして、えっへんとちょっと偉そうに咳払いをして話しはじめた。
「じゃあわたしの気になる人について話してあげる。その人は背が高くて、笑うと目が細くて垂れ目になって、とーっても優しい顔で笑うの。でもいつもはクールなふりをしてて、時々冷たく思えて、頭が良くてかっこいいんだ。だけど、はじめて会ったときからわかってたの。その人はだれよりも寂しがりやで、いつも友達を求めてるんだって。たまに、彼の目を見るとぎゅっと抱きしめてあげたくなるの。私がついてるよって。」
そう言ってチュンサンを見ると、チュンサンの目は静かな水面のように、黒く澄みきっていた。そして静かにこう言った。
「じゃあ抱きしめてよ」
ユジンはびっくりして固まってしまった。
「だって友達だろ」
「、、、うん」
ユジンは真っ赤になりながらおずおずとチュンサンの肩に両手をまわした。ユジンのポニーテールがチュンサンの鼻先をかすめて、シャンプーの甘い香りが身体に染み渡った。背中に恐る恐る回された手が少し震えている。
突然チュンサンは思いっきりユジンをぎゅっと抱きしめた。自分の中から湧き上がった衝動が理性を越えた。細くて折れそうなのに、柔らかいユジンの身体がすっぽりとチュンサンの腕に収まって、あまりの勢いに2人揃って後ろに倒れてしまった。しかも、どこかにゴムが引っかかったようで、ポニーテールがほどけてしまい、床にユジンの髪の毛が艶々と広がっている。チュンサンはユジンを離したくなくて、頬を擦り寄せたまま、じっとしていた。
触れ合っているお互いの頬が、熱を帯びたように熱い。ユジンは頭が真っ白になってしまい、動けなかった。
そしてしばらく固まっていたユジンはおずおずと口を開いた。
「チュンサン、わたし痛い。こわい。離して。」
チュンサンはハッとして身体を離してうつむいた。
ユジンは、ゆっくりと起き上がり、チュンサンの顔を覗きこむ。そこには傷ついた小さな子どものような瞳が下を向いていた。
「ねぇ、チュンサン。そうじゃないの。嫌なんじゃなくて、、、お願い、優しく抱きしめて、、、そっと抱きしめて。」
チュンサンの瞳がパッと輝き、今度は大事な宝物を包むように、そうっとユジンを抱きしめた。そして、慈しむように髪の毛をなんども撫でた。
「チュンサンの心臓、ドキドキしてる」
「ユジンの心臓もドキドキしてる」
ふたりはそう言いながらいつまでも抱き合っていた。