きらくなたてものや

楽しむ、楽しい、いえづくり、まちづくり

尺八

2008年02月06日 | 鎌倉く邸
鎌倉く邸の
梁間方向の2階床梁と、
屋根を支える垂木は、
全て尺八寸(約54.5cm)の間隔で
並んでいます。

建主の
居室の広さに対する要望などを踏まえ、
これが5つ分の間口で和室と寝室、
8つ分の間口で居間、
4つ分の間口で厨房や洗面所や書斎、
というように、
居室を割り付けました。

ふつう大工さんは、
三尺(約90.9cm)ごとに
通り芯を出して仕事するので、
かなりたいへんな思いを
させてしまいましたが、
三尺を基本に全てを割り振ると
ちょっと窮屈な感じが
するところが出てくるので、
尺八、にしました。

その代わり、
おかげで家全体が、
律動と奥行を感じる
空間となりました。

「尺八」という字の形も
末広がりな感じで、
なんだか縁起がよさそうです。




機能が空間へ

2008年02月04日 | 鎌倉く邸
居間の一角にある
収納コーナー。

玄関から居間に入ると
見える光景です。

収納の建具には、
中の通気のため、
上下に横長のスリットを
設けることが多いのですが、
ここでは
そのスリットが連続して、
一点透視を強調するとともに、
建具の存在を
静かに主張しているように
見えます。

厨房から洗面所を望む

2008年02月03日 | 鎌倉く邸
洗面所は、
居間と厨房の両方から、
入れるようになっています。

自分はこういう、
一点透視を強調する構図を
採り入れることが、
多いですね。

なお、
上部に見える黒っぽい枠は、
法律で定められている
コンロ廻りの垂壁。
鍛冶屋に作ってもらった、
鉄錆色の枠です。
そこに防火硝子が、
はめ込まれています。


三種の光

2008年02月02日 | 鎌倉く邸
居間では、

向かって左から順に、
高い位置にある窓と
はめこまれた硝子を通じて、
直接陽の光、

次に、
畳の間から、
障子を介した光、

奥には、
玄関格子と摺り硝子から
入る光、

というように、
三種の光を
楽しむことができます。

柔の床

2008年02月02日 | 鎌倉く邸
四畳半の
小さな畳の間に、
奥行一尺、
幅約二尺の
小さな小さな床の間。

斜めに入り込んだ壁と
砂漆喰とで柔らかく光と影を映し出し、

床と落とし掛けが、
砂漆喰の壁の中へと消え行き、

柔らかく軽快な、
床の間の意匠を試みました。