先月、20数年ぶりに、友人と再会した。年賀状のやり取りと、年に1度ぐらい電話がかかってお喋りしていた人で、会う機会はなかった。昨年の秋、電話がかかってきて、カラオケの会を作ったので、参加しないかと誘われたのである。
私より一回り以上年上のF氏は、以前、野鳥の会を主宰して、その楽しさを伝えてくる手紙や野鳥に関する自費出版の本を送ってくれた。バード・ウオッチングは楽しそうだが、あまり興味を持てない私は、その会に参加しなかった。誘われたわけではないけれど。
それから、しばらくして、俳句の会を主宰しているF氏から、句集が何度か送られてきた。俳句も、夢中になると楽しそうだけれど、その会に参加しなかった。特に誘われたわけでもなかった。
久しぶりに電話がかかってきた昨年の秋、F氏は俳句仲間の人たちでカラオケの会を作ったことを話したが、会のメンバー14人中、女性が11人、男性が3人と言うので、
「ええっ、女性が11人!!」
と、思わず、怯(ひる)んでしまうというのもヘンだが、同性に対して人見知りするタイプの私としては、ちょっと怖じ気づいてしまった。
「男性が、たった3人?」
なんて、もちろん聞き返さなかった。
「きみより年上の世代ばかりだけど」
と、F氏はメンバーの説明を始めた。昭和ヒトケタ世代も少なくなく、F氏は若いほうで、平均年齢70いくつかなあ、なんて笑う。
「俳句仲間の人も、女性のほうが多いんですか?」
そう聞くと、
「俳句は男性のほうが多いんだけど、カラオケやらない人ばかりなんだ」
と、F氏。
「どうしようかしら……」
と、ためらってしまったのは、もともと私は同性が苦手なのである。男性のほうが得意というわけでもないけれど。
概して、女性は同性に対して本能的に手厳しいということを経験から知っている。今まで、私が、手厳しくない同性、気の合う同性に出会えたのは10人に1人の確率どころか、50人に1人の確率、いや100人に1人の確率かもしれない。それでも、いることはいる。
カラオケルームに集まって、3時間、飲食しながら歌うらしい。その店の場所が、以前、住んでいた所の最寄り駅の繁華街なので、行ってみようかしらと、少し心が動いた。
昨年12月の忘年会に誘われた時、俳句が趣味の11人の年上世代の女性たちに会う心構えができていなかったというわけでもないが、その日は予定が入っていたので、この次にと答えた。
12月半ばごろ、F氏から、カラオケで歌う曲目リストがA4サイズ記録紙6枚プリントされて郵送されてきた。曲目、歌手名、昭和何年と、歌のタイトルごとにリストになっている。こういう歌がよく歌われます、とF氏の手紙に書いてある。
(Fさんて、やさしい人ね。わざわざカラオケの曲目リストを作成して送ってくれるなんて)
思いがけなくて、私は感激してしまった。
(そう言えば、あの時も感激したわ……)
リストで思い出したのは、昨年の秋、ホームシアター上映会の日のために、親しい知人Tさんがメールで送ってくれた映画リストである。ブルーレイ・ディスクのDVDとかWOWWOWの録画とか、さらに内容についてまで、映画タイトルごとに書いてある。そのリストを見て、
(Tさんて、やさしい人ね。わざわざ映画のリストを作成してメールしてくれるなんて)
思いがけなくて、私は感激してしまった。
そのリストの中から、私が観たい映画を選ばせてくれたのだが、200本ぐらいの映画タイトルを見ていきながら、
(ふうん、私より年下世代の人って、こういう映画を観るのね)
と、実に興味深かった。そのリストにある映画の中で、私が観た映画は約10%。話題作や予告でタイトルを知っている映画と、ビデオ録画して観始めたものの中断した映画などが、約20%。その他のタイトルは知らない映画ばかりだった。
リストの作成というのは、手間も時間もかかるものと経験から知っているので、いっそう感激したのである。
F氏が送ってくれたカラオケ曲目リストを見ると、その中で、私が知っている歌のタイトルは、10%ぐらい。
(ふうん、私より年上世代の人って、こういう歌をカラオケで歌うのね)
と、興味深かった。
今年のお正月に、F氏から電話がかかってきて、今月も会を開くからと、先月下旬のカラオケ会に参加する約束をしたのである。
20数年ぶりにF氏と会った時のなつかしさ! トシ取らないねとか、若いねとか、お世辞半分の言葉を言われたりしながら、久しぶりに会ったなつかしさが胸にこみあげた。
その日は、男性4人、女性12人の会になった。私が一番若いからと言って喜んでばかりいられなかった。初参加の人はカラオケ用マイクを手にしてスピーチさせられたのだ。私の席は、左隣にF氏、右隣に私同様、初参加の熟年紳士。
ビールで乾杯して、テーブルの上に、お寿司、揚げ物、サラダ、和え物、煮物など、その後ケーキやフルーツの盛り合わせなど。誰かが歌っていても、他の人たちは雑談していて平気なので退屈しなかった。私はF氏とお喋りしたり、反対隣の熟年紳士とお喋りして楽しんだりしていた。ナビ・リモコンを私の前に置かれても、初参加の私たちは遠慮して他の人に回し、後半になって、2曲ずつとデュエット曲を歌った。
3時間と言っていたが、その日は何と4時間! メンバーの1人が店のオーナーと知り合いのため、何時間いてもいいらしかった。
昨年は10数年ぶりに知人と会えたし、今年は20数年ぶりで友人と会えたので、来年は30年ぶりの人に会えるかも、なんて思っている。
私より一回り以上年上のF氏は、以前、野鳥の会を主宰して、その楽しさを伝えてくる手紙や野鳥に関する自費出版の本を送ってくれた。バード・ウオッチングは楽しそうだが、あまり興味を持てない私は、その会に参加しなかった。誘われたわけではないけれど。
それから、しばらくして、俳句の会を主宰しているF氏から、句集が何度か送られてきた。俳句も、夢中になると楽しそうだけれど、その会に参加しなかった。特に誘われたわけでもなかった。
久しぶりに電話がかかってきた昨年の秋、F氏は俳句仲間の人たちでカラオケの会を作ったことを話したが、会のメンバー14人中、女性が11人、男性が3人と言うので、
「ええっ、女性が11人!!」
と、思わず、怯(ひる)んでしまうというのもヘンだが、同性に対して人見知りするタイプの私としては、ちょっと怖じ気づいてしまった。
「男性が、たった3人?」
なんて、もちろん聞き返さなかった。
「きみより年上の世代ばかりだけど」
と、F氏はメンバーの説明を始めた。昭和ヒトケタ世代も少なくなく、F氏は若いほうで、平均年齢70いくつかなあ、なんて笑う。
「俳句仲間の人も、女性のほうが多いんですか?」
そう聞くと、
「俳句は男性のほうが多いんだけど、カラオケやらない人ばかりなんだ」
と、F氏。
「どうしようかしら……」
と、ためらってしまったのは、もともと私は同性が苦手なのである。男性のほうが得意というわけでもないけれど。
概して、女性は同性に対して本能的に手厳しいということを経験から知っている。今まで、私が、手厳しくない同性、気の合う同性に出会えたのは10人に1人の確率どころか、50人に1人の確率、いや100人に1人の確率かもしれない。それでも、いることはいる。
カラオケルームに集まって、3時間、飲食しながら歌うらしい。その店の場所が、以前、住んでいた所の最寄り駅の繁華街なので、行ってみようかしらと、少し心が動いた。
昨年12月の忘年会に誘われた時、俳句が趣味の11人の年上世代の女性たちに会う心構えができていなかったというわけでもないが、その日は予定が入っていたので、この次にと答えた。
12月半ばごろ、F氏から、カラオケで歌う曲目リストがA4サイズ記録紙6枚プリントされて郵送されてきた。曲目、歌手名、昭和何年と、歌のタイトルごとにリストになっている。こういう歌がよく歌われます、とF氏の手紙に書いてある。
(Fさんて、やさしい人ね。わざわざカラオケの曲目リストを作成して送ってくれるなんて)
思いがけなくて、私は感激してしまった。
(そう言えば、あの時も感激したわ……)
リストで思い出したのは、昨年の秋、ホームシアター上映会の日のために、親しい知人Tさんがメールで送ってくれた映画リストである。ブルーレイ・ディスクのDVDとかWOWWOWの録画とか、さらに内容についてまで、映画タイトルごとに書いてある。そのリストを見て、
(Tさんて、やさしい人ね。わざわざ映画のリストを作成してメールしてくれるなんて)
思いがけなくて、私は感激してしまった。
そのリストの中から、私が観たい映画を選ばせてくれたのだが、200本ぐらいの映画タイトルを見ていきながら、
(ふうん、私より年下世代の人って、こういう映画を観るのね)
と、実に興味深かった。そのリストにある映画の中で、私が観た映画は約10%。話題作や予告でタイトルを知っている映画と、ビデオ録画して観始めたものの中断した映画などが、約20%。その他のタイトルは知らない映画ばかりだった。
リストの作成というのは、手間も時間もかかるものと経験から知っているので、いっそう感激したのである。
F氏が送ってくれたカラオケ曲目リストを見ると、その中で、私が知っている歌のタイトルは、10%ぐらい。
(ふうん、私より年上世代の人って、こういう歌をカラオケで歌うのね)
と、興味深かった。
今年のお正月に、F氏から電話がかかってきて、今月も会を開くからと、先月下旬のカラオケ会に参加する約束をしたのである。
20数年ぶりにF氏と会った時のなつかしさ! トシ取らないねとか、若いねとか、お世辞半分の言葉を言われたりしながら、久しぶりに会ったなつかしさが胸にこみあげた。
その日は、男性4人、女性12人の会になった。私が一番若いからと言って喜んでばかりいられなかった。初参加の人はカラオケ用マイクを手にしてスピーチさせられたのだ。私の席は、左隣にF氏、右隣に私同様、初参加の熟年紳士。
ビールで乾杯して、テーブルの上に、お寿司、揚げ物、サラダ、和え物、煮物など、その後ケーキやフルーツの盛り合わせなど。誰かが歌っていても、他の人たちは雑談していて平気なので退屈しなかった。私はF氏とお喋りしたり、反対隣の熟年紳士とお喋りして楽しんだりしていた。ナビ・リモコンを私の前に置かれても、初参加の私たちは遠慮して他の人に回し、後半になって、2曲ずつとデュエット曲を歌った。
3時間と言っていたが、その日は何と4時間! メンバーの1人が店のオーナーと知り合いのため、何時間いてもいいらしかった。
昨年は10数年ぶりに知人と会えたし、今年は20数年ぶりで友人と会えたので、来年は30年ぶりの人に会えるかも、なんて思っている。