アルコールは、飲むけれど、弱いほうである。ビールなら中瓶一本、水割りウイスキーならシングル二杯ぐらいで、酔ってしまう。顔も身体も火照ってきて、ふわふわっとした心地になる。
誰かと一緒に飲む雰囲気が好きで、一人ではあまり飲まない。アルコールを口にするのは週に2日か3日ぐらいだから、全然強くなれない。
それでもビールやワインは料理が美味しいと、いつの間にか杯を重ねてしまう。喉が乾いている時のビールは、ひときわ美味しい。一番ふわふわっと快感を伴った酔い心地にさせられるのは、ブランデーである。
先日、初めて地ビールを飲んだ。赤坂駅のすぐ傍にあるレストランヘ、編集者のKさんに連れて行ってもらった。Kさんはアルコール通で、いろいろな店をよく知っている人である。
その店で飲んだのは『赤坂地ビール』。首都圏限定で販売される地ビールだった。
『赤坂地ビール』には、黒ハーフとピルスナーの2種類のタイプがあって、その両方を飲んでみた。
黒ハーフは、思ったよりあっさりした味をしている。黒ビールとラガービールの中間ということで、副原料は一切使わない麦芽百パーセントだそうである。そして、この黒ハーフは、黒ビールの地ビールとしては国産第一号ということらしい。
黒ビールを飲んだ経験は、人につられて、という感じで、数えるほどしかない。黒と普通のビールを半分ずつ入れたのを、私の友人が好きで、時々、一緒に飲む。それから、『スタミナ・ドリンク』というのを飲んだことがある。その名から、いかにも男性向き! という感じがするが、ゴルフ場のクラブハウスで注文する飲み物らしい。これは黒ビールと卵の黄身にハチミツを垂らして混ぜる。作って飲んでみたけれど、少し甘味もあって、あまり美味しいと思わなかった。スタミナ・ドリンクという名のイメージで、卵とハチミツという栄養価を含めて自己暗示しながら飲む飲み物のような気がした。
『赤坂地ビール』のもう一種頬のピルスナーは、酸味があって、こちらのほうが美味しかった。色の濃い麦芽を使用することで、深いコクを出して、炭酸も強めになっているのが特徴だということである。
黒ハーフもピルスナーも、中ジョッキで飲んだのだが、料理が運ばれてきたのは途中からだった。私には中ジョッキ二杯は、多い感じ。アルコールに強いKさんは平気な顔。
ところが、料理を食べながら、お喋りが弾むと、もっとビールを飲みたくなってくるから不思議である。注文した料理は、ソーセージの網焼き、ソフトシェルクラブの唐揚げ、スモークサーモン、きのことベーコンのサラダ、牛舌の網焼き。どれも美味しかったので、ビールもそれだけで飲むより美味しくて、さらに杯を重ねてしまった。
その店を出て、渋谷の道玄坂へ。Kさんの行きつけの焼き鳥店に入る。カウンターだけの店だが、この店の主人は焼き鳥一筋三十年という人。肉の締まった岩手の南部鶏。火力の強い備長炭に、団扇で風を送りながら、肉汁を逃がさないように焼き上げるところを、カウンター越しに見られる。
特に、つくねが美味しかった。玉ねぎとゆずを加えた挽き肉を生からじっくりと焼いたつくねは、常連客のお目当てと言えるらしい。
ここではもうビールは飲めなくて、梅入り焼酎をチビリチビリと飲んだ。Kさんは杯を重ねるにつれ、陽気になって、学生時代の話などを楽しそうに、なつかし気に語ってくれた。
家に帰って、ちょっと太るような気がしたので、時間をかけて入浴し、テレビを見ながら美容体操して、まだ酔いが残るふわふわ気分に包まれて就寝した。
※ミニコミ誌『あじくりげ』1996年8月1日掲載
誰かと一緒に飲む雰囲気が好きで、一人ではあまり飲まない。アルコールを口にするのは週に2日か3日ぐらいだから、全然強くなれない。
それでもビールやワインは料理が美味しいと、いつの間にか杯を重ねてしまう。喉が乾いている時のビールは、ひときわ美味しい。一番ふわふわっと快感を伴った酔い心地にさせられるのは、ブランデーである。
先日、初めて地ビールを飲んだ。赤坂駅のすぐ傍にあるレストランヘ、編集者のKさんに連れて行ってもらった。Kさんはアルコール通で、いろいろな店をよく知っている人である。
その店で飲んだのは『赤坂地ビール』。首都圏限定で販売される地ビールだった。
『赤坂地ビール』には、黒ハーフとピルスナーの2種類のタイプがあって、その両方を飲んでみた。
黒ハーフは、思ったよりあっさりした味をしている。黒ビールとラガービールの中間ということで、副原料は一切使わない麦芽百パーセントだそうである。そして、この黒ハーフは、黒ビールの地ビールとしては国産第一号ということらしい。
黒ビールを飲んだ経験は、人につられて、という感じで、数えるほどしかない。黒と普通のビールを半分ずつ入れたのを、私の友人が好きで、時々、一緒に飲む。それから、『スタミナ・ドリンク』というのを飲んだことがある。その名から、いかにも男性向き! という感じがするが、ゴルフ場のクラブハウスで注文する飲み物らしい。これは黒ビールと卵の黄身にハチミツを垂らして混ぜる。作って飲んでみたけれど、少し甘味もあって、あまり美味しいと思わなかった。スタミナ・ドリンクという名のイメージで、卵とハチミツという栄養価を含めて自己暗示しながら飲む飲み物のような気がした。
『赤坂地ビール』のもう一種頬のピルスナーは、酸味があって、こちらのほうが美味しかった。色の濃い麦芽を使用することで、深いコクを出して、炭酸も強めになっているのが特徴だということである。
黒ハーフもピルスナーも、中ジョッキで飲んだのだが、料理が運ばれてきたのは途中からだった。私には中ジョッキ二杯は、多い感じ。アルコールに強いKさんは平気な顔。
ところが、料理を食べながら、お喋りが弾むと、もっとビールを飲みたくなってくるから不思議である。注文した料理は、ソーセージの網焼き、ソフトシェルクラブの唐揚げ、スモークサーモン、きのことベーコンのサラダ、牛舌の網焼き。どれも美味しかったので、ビールもそれだけで飲むより美味しくて、さらに杯を重ねてしまった。
その店を出て、渋谷の道玄坂へ。Kさんの行きつけの焼き鳥店に入る。カウンターだけの店だが、この店の主人は焼き鳥一筋三十年という人。肉の締まった岩手の南部鶏。火力の強い備長炭に、団扇で風を送りながら、肉汁を逃がさないように焼き上げるところを、カウンター越しに見られる。
特に、つくねが美味しかった。玉ねぎとゆずを加えた挽き肉を生からじっくりと焼いたつくねは、常連客のお目当てと言えるらしい。
ここではもうビールは飲めなくて、梅入り焼酎をチビリチビリと飲んだ。Kさんは杯を重ねるにつれ、陽気になって、学生時代の話などを楽しそうに、なつかし気に語ってくれた。
家に帰って、ちょっと太るような気がしたので、時間をかけて入浴し、テレビを見ながら美容体操して、まだ酔いが残るふわふわ気分に包まれて就寝した。
※ミニコミ誌『あじくりげ』1996年8月1日掲載