2010-01-07
4.ヒロの企て
ヒロの休暇も、超忙しい。
ヒロのずば抜けた頭脳や技能は、いくつかのラボから関心を持たれていたので、休みの間に見学へ来るようにと誘いがかかっていた。
ヒロは、自分なりに研究開発していたモノがあって、ずっと前から、それを実現できるラボを探していた。
小さい頃から暖めていた、自分の頭の中にあるフィラという惑星の技術を、ヒロは実際に使ってみたいという企てもあった。
しかし、実際に見学しながら、研究の内容を話してみると、どうもルールがじゃまをして、今のところ実現化は難しいらしい。
幸いなことに、もし何か作ってみたいモノがあるのなら、自由に使っても良いというラボがあったので、休暇の間に借りて作ってみることにした。
『タケルからは、まだ地球に帰るかどうか迷ってるとか、
悪魔のような女の子がいるから、何とかして欲しいとかグチをこぼされてさ。
フン、キラシャのことはどうするンだとイヤミを言ってやった。
モテるやつは、スミに置けないね~。
タケルから、またSOSメール送ってきた時は、びっくりしたけどさ。
ユウキ先生に相談したら、先生が警察に連絡するから、
ヒロはよけいな心配しなくていいよだって…。
せっかくタケルを助けたと思ったのに、また助けてくれ!ってメールされて、
見過ごすわけにはいかないじゃないか…』
ケンとマイクが、アフカに着いたことをメールしてきた時には、ヒロは電話に切り替えて、自分の夢を自慢げに話した。
「オレはな、今の地球にフィラの技術を浸透させたいンだ。
あの技術が地球で生かせれば、絶対地球に戦争なんて起きないンだ。
フィラにはね、人を憎むとか、殺したいっていう感情がないンだぜ。
かといって、ただボーっと生きてるだけじゃないよ。
ひとりひとりが、夢や目標を持って生きてるンだ。
その夢を実現するための犠牲は、自分だけの幸せを無くすことなンだ。
自分だけがおいしいものを食べたいとか、
自分だけが儲けたいとか、
いろんなトコヘ行きたいとか、
好きな子にモテたいとか、
そういう欲を無くすことなンだ。
自分以外の人の役に立つために、自分の夢を持つ。
それが、フィラの世界の流儀なンだ!
オレも、ニールのエネルギー開発が実現できるように、
平和のために使えるMフォンの開発に取り組むぞ~!」
ヒロは、休暇中も時々仮眠するだけで、自分の作業に没頭した。
そして、やっと完成したぞと一息ついた時、キラシャからメールが届いていたことに、ヒロは気づいた。
『よし、キラシャが驚くといいな~。
ケンとマイクも、なんとかうまくやってくれるといいンだけどな。
アフカ・エリアなら、この技術はルール違反にならないからな。
何たって、あのエリアには、こんなことを禁止するルールが、ないンだから・・・』