2009-11-23
2.追って来るぞ!
タケルは、ヒロへのメールが無事に送信されたことを確認した。
でも、タケルのMフォンは、宇宙ステーション用に設定されている。これ以上離れたら、地球との送受信ができるかわからない。
タケルは、宇宙ステーションでの裁判も終わってないし、代理人への報告も決められた時間内にできていないことに気づいた。
『ひょっとしたら、代理人がオレのこと気づいて、警察に連絡してくれたかも。
もし、それでコズミック防衛軍が動いたら、助けに来てくれるかも…』
タケルは、良い方に気持ちを切り替えた。
『コズミック防衛軍の宇宙船って、カッコイインダよな~。
ゲームじゃ、何度も操縦してみたけど、オレも一度、ホンモノに乗ってみたいな~』
タケルはスクールで紹介された、コズミック防衛軍の兵士の活躍する姿を思い浮かべた。
しかし、現実にこの宇宙船を操縦するのは、年取ったじいさんひとりだけ。
しかも、この宇宙船は、ずいぶん故障を抱えているらしい。
助けてもらえるまでに、この宇宙船が大破しやしないかと、不安で寒気がした。
どこへ道連れにされるのかわからないが、せめて地獄でないことだけ、タケルは祈った。
しばらくして、四方の宇宙を映し出すカメラのひとつが、宇宙ステーションから同じ方向に向かって来る宇宙船をとらえた。
その宇宙船は、タケルが知っているコズミック防衛軍ではない。
ウェンディが叫んだ。「やつらだ!」
子供達も興奮して、声を掛け合った。
「やつらが、追っかけて来るぞ!」
威嚇射撃なのか、その宇宙船が光を発して、タケルの乗った宇宙船のそばをブォーンと光線が通り過ぎた。
「あいつら、オレ達攻撃して、何の得になるンだ?」
「撃沈されたくなかったら、言うこと聞けってこと?」
「ああ~、この宇宙船遅すぎる~。キャプテン、もっと早く進まないの?」
「うるさい。ガキどもは黙ってろ! これが、精一杯なんだ」
「わ~、どんどん近づいて来るよ~。じいさん、頼むよ~、もっと飛ばしてくれよ~!」
「お前ら、勝手なこと言うな!
この宇宙船でこれ以上スピード出したら、どうなるかわかって言ってるのか。
宇宙のちりになっちまうンだぞ! 」
「だって、あいつらに捕まったら、オレ達、また人質なンだぜ!
あいつら、オレ達をダシにして、家族からマネー巻き上げようとしてるンだ! 」
「でも…。パパは、新しいママに夢中ナンダモン、ボクのためにお金出さないかも…」
小さい男の子は、悲しくなって泣き出してしまった。
「バカだなぁ、泣くなよ。オレ達も同じさ。
親が面倒みてくれなきゃ、オレ達が面倒みてやるよ。
…あいつらに捕まっても、生きていられりゃね…」
そばにいる男の子が、ぽつりと言った。
その時、スピーカーからダミ声が響いた。
「いいか、よく聞け!
これ以上進んだら、お前達の命はネェぞ。
おとなしく、こっちの言うことを聞きな! 」
宇宙船は、いよいよ近くまで迫って来た。
「こっちが、ドッキングしやすいように、エンジンを止めろ! 」
再び、ダミ声が響いた。
ウェンディは、何かを決断したように、キャプテンに向かって言った。
「よし、もうストップしてもイイよ。やつらの言うこと聞いてやンな」
「ナンだって? ウェンディ何考えてンの?」
「このオンボロ宇宙船じゃ、地球には行けそうにないンだ。
このままじゃダメだ。
やつらの船に乗ってから、何とかしよう…」
「危険だよ、ウェンディ! やつら、何するかわかンないよ!」
「ワシがキャプテンだから、ワシの言うことも聞きな!
ざっと見たところ、この船にいる方が危険すぎるね。
命が惜しかったら、やつらに従った方がマシだ!」
アース・キャプテンの顔つきが変わった。
タケルは、その様子をじっと眺め、やっぱり何かあるンだと思った。
≪ときには≫
2009-10-11
ときには 何もかもが
イヤになることも あるけど
ときには 何もかもが
ヤミにまぎれることも あるけど
信じられる 何かがあるンだ
信じ合える 誰かがいるンだ
どこかに 隠れているのなら
そいつを 見つけてやろうよ!
自分自身を信じて 生きよう
未来を築くのは 自分達だと信じて!
ときには 何もかもが
テキに見えることも あるけど
ときには 何もかもが
逆に流されることも あるけど
誰にでも 奇跡は起こせるンだ
誰かに 出会う奇跡もあるンだ
見えない未来の どこかで
誰かが 待ってくれてる
自分自身を 信じて生きよう
未来の自分は 輝やいてるンだと信じて!