未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第15章 真実って? ①

2021-05-27 20:27:24 | 未来記

2009-05-08

1.アフカへ

 

キラシャの恋心

2009-02-01

君がいるだけで

 

そばにいるだけで

 

こころが ホッとして

 

あったかい…

 

 

なにをしてても

 

どこへ行こうとも

 

君のこと どんな時も

 

忘れない…

 

 

君が好きなこと

 

君を好きなこと

 

いつまでも 続けられると

 

いいのに…

 

 

いつの日にか

 

大人になって

 

君と笑って 話せる日が

 

来るかな…

 

 

 

キラシャの春休みの予定は、いっぱいだ。

 

アフカ・エリアの停戦が正式に決定し、MFiエリアとアフカ・エリアを結ぶ航路便も、再開した。

 

パールのふるさと、アフカ・エリアにいる家族から、戦争に反対する団体を経由して連絡があり、パールの帰郷を望んでいるとのこと。

 

オパールおばさんは、この日を待ちかねていたように、パールと一緒にアフカ・エリアへ行く支度を始めたが、パールは急に帰るのが怖いと言い始めてしまった。

 

パールは戦争で大やけどを負ったから、整形手術を行い、以前の顔とは違っている。

 

元のパールの顔しか知らない人に、今の顔を見せるということは、パールにとって、とても勇気のいることなのだ。

 

パールは悩んだ末に、キラシャが一緒について来てくれたら、アフカに帰ってから、どんなにつらいことがあっても、大丈夫な気がすると、キラシャに相談した。

 

キラシャは、亡くなったキャップ爺の遺言で、死んだら自分の骨を広い外海に流して欲しいと言われていた。

 

だから、キラシャの春休みは、パパとボートでのんびりと外海へ行く予定になっていたのだ。

 

パールからの突然の話に、「えっ?」っとびっくりしたキラシャ。

 

でも、ホスピタルにいる間にいろんなことがあって、ひとりでは耐えられないくらいつらかったとき、パールがそばにいてくれるだけで、どんなに心がホッとしたことだろう。

 

それを考えると、パールの頼みを簡単に断ることもできなかったし、入院中にパールから聞いたアフカの自然を、見てみたいなぁ…という気持ちもあった。

 

オパールおばさんも、パールとキラシャに安心してもらうため、私がキラシャの旅費と旅の間の保護者も引き受けましょうと、キラシャの両親を説得した。

 

両親と相談した結果、おじいさんのお骨流しは、キラシャがアフカ・エリアから無事に帰ってから行くことになり、キラシャの旅支度がバタバタと始まったというわけだ。

 

キラシャが他のエリアに行くのは、これが初めてではない。

 

イルカの調教の勉強を理由にして、おじいさんとフリーダム・エリアのあちこちで行われているイルカ・ショーをハシゴしたことがあった。

 

小さな島で育ったキラシャには、フリーダム・エリアの壮大なドームが眩しくて、何もかも別世界のモノにしか思えなかった。

 

移動するたびに、人混みに酔ってしまい、ホテルでゲーゲー吐いてはおじいさんを心配させ、MFiエリアの食べ物でなきゃイヤだと、散々駄々をこねて、困らせていたキラシャだった。

 

そんな大変な思いをして出会ったイルカ達とのふれあいは、今でも忘れられない、キラシャの心にしまってある大切な宝物だ。

 

キラシャの両親は、キラシャが食事のことで、パールの家族に迷惑をかけないだろうかと、ずいぶん心配した。

 

ところが、キラシャはそんな両親の心配をよそに、「アフカに行ったら、そこでしか食べられないモノを食べてみたいンだ…」と楽しそうに言う。

 

キラシャは笑顔で航空船に乗り込み、パールとともに旅立った。

 

アフカ・エリアの滞在は、1週間の予定だ。

 

サリーとエミリにアフカ行きのことを相談したとき、募金活動をしている間に、いろんな人から遊び道具をたくさんもらったから、それを届けて欲しいと頼まれた。

 

戦争で、自分の居場所だけでなく、遊び道具をなくしてしまった子供達が大勢いるからだ。

 

担任のユウキ先生に旅行の許可願いを申請したときは、アフカ・エリアにいる間も、MFiエリアの子供としての自覚を忘れないこと、

 

パールには、いろいろつらいことが待っているだろうから、そばで元気づけてやって欲しいと頼まれた。

 

キラシャは人に何かを頼まれると、やる気満々になるタイプだ。

 

パールに何が待っていようと、自分にどんな試練が降りかかってこようと、精一杯そばで応援してやらねば…と、意気込んでアフカ・エリアへと向かった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする