第3回
資金繰りに窮し、「負の連鎖」に入り込んだときは、大きな試練です。この対処の仕方ひとつで倒産へまっしぐらということにも、正常企業化だけではなく一気に優良会社や無借金会社から「幸せ会社」になることの出来るチャンスでもあるのです。
なぜなら、経営再建対策はすべて経営の「原理原則」を確実にやることなのです。そのためにはある程度の時間が必要です。その時間を稼ぎ出すことが、【緊急資金繰り対策】なのです。
「リスケ」ばやりですが、リスケは目的ではなく経営再建の時間を稼ぎ出すための一手段に他なりません。「リスケ成功=経営再建」なんてことには絶対になりませんし、「借入成功=経営再建」でもありません。
資金繰りが一気に解消する「魔法の杖」は絶対にありません。そんなうまい話に乗れば逆に一気に「最悪の倒産」へ転げ落ちていくのが落ちです。
金融機関からの運転資金や経営者の個人資金を使わなければ資金繰りを解消できない、つまり1円でも外部資金を会社に注ぎ込む必要が生じたということは何を意味するのでしょうか? それは経営そのもので必要な資金を生み出せないことを意味します。
ここが大事なところです。
この段階で優先しなければならないのは外部資金を導入することではなく、経営の原理原則が出来ているのかの再点検なのです。
とはいっても、緊急の資金繰りを解消できなければ、経営の再点検どころではありません。来週の手形が落とせないなど、よほどの火急でない限りは外部資金導入は最後の手段とし、【緊急資金繰り対策】のすべてを実行すべきです。【緊急資金繰り対策】と経営の原理原則が出来ているのかの再点検【経営再建(改善)プログラム】の基本的対策は同時進行しなければなりません。
【緊急資金繰り対策】の基本的な考え方は、「自分が持っている資産」だけで最低限支払わなければならない負債を支払うことです。
子供は100円のお金を握っていれば、それをどのように使うか腐心しますが、経営危機に陥った経営者は100円しかなく、500円必要なときはどう400円工面するかばかりを考えます。その方法は外部資金導入もしくは利益を無視した売り上げ対策です。これでは一時しのぎは出来ますが、永遠に資金繰り対問題は解消されません。
それでは具体的に【緊急資金繰り対策】について述べていきましょう。繰り返しますが、これらの対策も「魔法の杖」ではありません。【経営再建(改善)プログラム】実行のための時間を稼ぐための手段に過ぎないことを肝に銘じてください。
1、月次資金繰り表ではなく【日繰り資金繰り表】を作成して、手持ち資金の最大活用化を検討する。
2、資産負債対策表を作成して、資産を流動化させる。
3、【緊急支払い検討表】を利用して支払い順序や金額を確定する。
【日繰り資金繰り表】の最大の特徴は、・・・(第4回へ)