児玉時計店 ブログ

時計・メガネ・宝飾・補聴器 取り扱っております。
古い時計の修理もご相談ください。

セイコー 5     7/7

2016-06-10 | 修理
完成編です。

仕上がったケースに、ムーブメントを組み込みます。





外装、内装共に、サビ・汚れのない綺麗な状態になりました。





文字板もこの通り、スカッと見えます。



精度調整をして修理完了。

これまで約50年、そしてこれからも新たな時を刻み続けてくれるでしょう。


セイコー 5     6/7

2016-06-09 | 修理
外装編、風防交換です。





プラスチックの風防が使用されていますので、キズ多数です。



こちらにはヒビも入っています。



ベゼルを外し、分解します。



ベゼルの下になる部分もサビ・汚れがこびり付いています。



左が傷んだ風防、右が当店在庫にあった貴重な新品!!

こちらの風防もメーカーでは在庫なし。
ケースの段に合わせて内側に段付きの形状、流用は難しい専用部品です。



サビ取り洗浄したケースにセットします。



ヒビもなくなりスッキリ。





エッジもシャキッと立ってます。



クリアな新品の風防と、キズ取りしてきれいになったケースは、気持ちがいいです。

最終回へ、つづく。

セイコー 5     5/7

2016-06-08 | 修理
部品交換編。

同じくファイブを名乗っても、
年代やモデルによって搭載されているムーブメントは何種類もあります。
したがって基礎ムーブメントが同じでなければ、パーツも互換性はありません。
生産数の多いムーブメントでも、修理で使用される数も多いために、
年数がたつと、ほぼ欠品になってしまいます。

今回のキャリバー用の部品は、メーカー在庫も無くなって入手は困難でした・・・が、

当店のパーツ在庫の中から、奇跡的に必要な部品が出てきました。



こちらカンヌキ押エという部品です。

左が取り外した不良部品、右が新品。
オシドリにかかるバネ部が折れていました。



組み込んだ状態。



ローターベアリング。
重さのある自動巻きローターを支え回転する部品。

こちらも年数的に傷むところで、ガタガタに減ってしまって、
ローターが受板に擦れながら回っている状態でした。





ベアリングユニットごと交換しました。
これで効率よく、巻き上げが行われます。

次回、外装編へ。

セイコー 5     4/7

2016-06-07 | 修理
この修理の一番のハイライトです。



角穴車と受板が擦れた跡!!!



受板に段が付くほど削れてしまっていました。

しかも、これまでのオーバーホールでは根本的な修理が施されてなかったようで、
擦れる部分にグリスを塗布して安易に済ませていたように見うけられます。

これでは、削れカスとグリスの油カスが歯車の間に入って止まりの原因になるのと、
トルクの損失による精度不良、歯先の摩耗と様々な不具合をまねいてしまいます。



原因である地板側のほぞ穴部分、拡大してみると、



ご覧のように、ホゾの形にえぐれる様に摩耗していました。
一番力のかかる部分なので、年数的にはいたしかたないところではありますが、
ここまでになってしまうと問題です。

ゼンマイのトルクがかかると、減った方向にホゾが押されますので、
ゼンマイの入る香箱真が傾いた状態になります。
そのため受板側の角穴車も傾いて、受板に擦れていたのでした。

高級機であれば、トルクのかかるこの部分には、
摩耗しにくい穴石やブッシュが取り付けられているのですが、
普及機であるこちらのムーブメントにはそれがありません。

解決策として、減ってしまったホゾ穴にブッシュを製作して取り付けます。





時計旋盤にてブッシュを削りだします。



ブッシュの外径に合わせて、地板の穴を広げます。



ブッシュを圧入します。



ブッシュが取り付き、完了。
これで、ホゾとのクリアランスも適正になり、香箱真の傾きも無くなります。
したがって、角穴車と受板の擦れも解消。
歯車とのバックラッシュも適正になり、ゼンマイの力の伝達も良くなります。



当然、香箱本体も分解、減り直しを施して組み立てます。

次回へ、つづく。


セイコー 5     3/7

2016-06-06 | 修理


プッシュボタンからのサビは、ムーブメントにも及んでいました。
プッシュボタンによって作動する、カレンダー修正レバーが錆びていました。



日板・曜板をはずしてみると、
幸いにも、サビはレバー部分で止まっていたようです。



レバーを外し、出来るだけサビを取り除きます。



痕は残りましたが、赤サビはきれいに除去できました。





組み込み、作動チェック。
使用可能になりました。
再発しないように、防錆処理も施します。

次回、更に深層部へ。