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どうも、こんにちは。
9月18日記事からずっと東京に行った時の記事を書いております。
平将門ゆかりの地や、東京国立博物館、於岩稲荷(おいわいなり)の他にも、訪れてみたい場所がありました。
それが東京。新宿駅東口近くで現在も個人で営業を続けているカフェ&ビア『新宿ベルグ』です。
新宿駅東改札からすぐのところにその店はありました。
私がこの店を知ったきっかけは、Twitterをやっていて、現店長・井野朋也氏のTwitterでの発言を時々、拝見したからです。
おや? 面白い発言する人も居るな。
誰だろう? と思ってみたら、カフェ&ビア『新宿ベルグ』という店の店長さんだったわけです。
また、こういうものとか、何かイベントもやっておられるようです。
今月のベルクの壁は、『ガザからの刺繍展』です。300人の難民女性の手により作られる(生活の支えになっている)美しい刺繍を写真でお楽しみ下さい!現物もございます。販売もしてます。パレスチナに唯一残る織物工場で日本製の旧式の織り機で織られた最後のパレスチナ織物「ラスト・カフィーヤ」! pic.twitter.com/3MDF53vMFy
— 井野朋也(新宿ベルク店長) (@Bergzatsuyoten) 2017年9月30日
それで、せっかく東京まで来たのだから、ここにも寄ってみようかと思い立ちました。
まずは中へ。
地下街の一角にある、本当に小さなスペースの店。
しかしそんな小さなスペースが、朝早い時間帯から大勢の客で賑わっています。
まずは、メニューを見ます。
すみません。
ぶれて見えにくい写真しか撮れませんでしたが。
多種多様なメニューで、しかもそのほとんど安い、手頃な価格です。
また、朝7時から営業しているようで、早い時間から朝食をとれるのがありがたいです。
なるほど、新宿駅改札近くという立地に加えて、以上のような特徴がこの店の人気の秘密か、と納得しましたが、どうもそれだけの店でも無い様です。
先に紹介したツイートにもあったように、店の壁では「ガザ難民の刺繍」をテーマにした写真展が介さされていました。
カウンターの一角に、こんなものも。
パンひとつに対しても、「生活のためにパンを焼くのか、パンを焼くための生活なのか」などという問いを発するのか、と。
「同じパンでも大量生産で作られたものか、手作りで作られたものか」などと、今時そんな問いかけをする店があったとは。
この『新宿ベルグ』という店が、何故このようなこだわりや問題意識を持っているのか、実はこの時私はまだよくわかっていませんでした。
これは後ほど知ったことですが、この店は入居していたビルの貸主となった「ルミネ」から立ち退きを迫られていたのです。
その詳細については、『新宿ベルグ』HPにも解説ページがあり、この問題の経緯や詳細が書かれています。
『ベルグ』が入居している新宿ステーションビルの家主となったJR東日本の子会社・ルミネにより、ルミネ側の都合だけで一方的な立ち退き要求を迫られたという問題です。
新宿ベルグを存続させる為、2万人近くの署名が集まったこともあって、ルミネからの立ち退き要求を事実上撤回させることが出来たそうです(その報告文がこちら)。
その中で、大資本にのみ圧倒的に有利で、個人経営の中小零細事業者には厳しい日本社会の現実というものを、身をもって知ることになったのでしょう。
先の「大工場で大量生産されたパンか、職人さんが手作りで作ったパンか」などという問いかけも、そのような経験や問題意識から生まれたものか、となるほど納得しました。
そういえば井野店長は、こんな発言もされています。
日本は企業さえ生き延びれば何とかなるという企業信仰の国だから、安倍ちゃんは強いよね。信仰者には私のような小さな店の経営者が何を言っても「負け惜しみ」にしか聞こえない。小さいというだけで負けだから笑。信仰者は勝ち続け、安倍ちゃんも勝ち続ける。日本は破滅の道を進む。いいのか?それで。
— 井野朋也(新宿ベルク店長) (@Bergzatsuyoten) 2017年10月23日
この発言も、大資本の論理と理不尽と戦ってきた、小さな個人事業者ゆえの発言だと思えば。
さて、理屈はともかく、朝食をいただきます。
パンとポークハム、ポテトサラダ、玉子、野菜のモーニングセットと、豆と挽肉のスープとを、ストレートの紅茶で、美味しくいただきました。
これらに使われている食材も、それぞれがこだわりの品だというわけですね。
こういうものを、ファーストフード・チェーン店並の安さ、早さ、手軽さで提供している。
それに加えて、思想信条を持ち、意見も発信している。
これがこの店が長年に渡って多くの人に支持され、愛され続けている理由なのでしょう。
帰りに、店で反場されていたチキンピカタのサンドと、シリア・アレッポ製の石鹸をお土産に。
ルミネの立ち退き要求問題でもわかったように、どうしても大資本だけが有利になる弱肉強食の市場原理主義の社会で、こうして頑張って、愛され続けている店があった。
安くて手軽なこだわり料理に加え、この事実に、励まされているような満足感を得て、店を後にします。
また東京・新宿付近に行くことがあったら、寄ってみたい場所のひとつですね。
今回はここまで。
また次回。
*新宿ベルグへのアクセス・周辺地図はこちら。
*新宿ベルグのHP
http://www.berg.jp/
*現店長・井野朋也氏のTwitter
https://twitter.com/Bergzatsuyoten
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm