京都の闇に魅せられて(新館)

戒光寺の鬼瓦と弁天堂と身代わり仏伝説 @ 京都妖怪探訪(807)

 

(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)


 どうも、こんにちは。
 シリーズ前回に続いて今回も、泉涌寺とその塔頭(たっちゅう)寺院を幾つか巡ってみることにしました。
 今回はそのうちのひとつ、戒光寺(かいこうじ)を。
 この戒光寺には、後水尾天皇が刺客に襲撃された時に身代わりになったという釈迦如来像など、面白いものが幾つもありました。


 前回の法音院の場所から、泉涌寺賛同を少し奥へ歩きますと、戒光寺の山門が見えます。

 

 

 


 入り口に、ご本尊の釈迦如来像をアピールする看板が立っていました。

 

 

 重要文化財で、鎌倉時代の有名な仏師、運慶、湛慶親子の作品。
 これだけでかなり貴重な仏像だというのがわかりますが。
 全高10mの木製の仏像で、「丈六釈迦如来像」(通称「丈六さん」)と呼ばれています。
 鎌倉時代中期に後掘河天皇のご勅願所として創建され、応仁の乱で一度焼失した時も、この仏像は焼けずに残ったそうです。

 

 山門から境内へ。

 

 

 

 工事中だったこともあってか、本堂前には多くの鬼瓦が並べられていました。

 

 


 古来より鬼瓦には魔除け・厄除けなどの呪術的効果があると考えられてきましたので、つまりこれらは一種の呪物です。
 興味をそそられた私は、しばしの間、それらを見続けます。

 

 

 

 

 確か、邪悪な鬼の力で邪悪なものや厄を退けるという「毒をもって毒を制す」という呪術的な意味が、鬼瓦にはあったとか。
 ただ、中には鬼でない鬼瓦(?)も。

 

 

 


 竜の鬼(?)瓦も。

 

 

 

 

 鬼門に、つまり鬼が侵入してくるといわれる艮(うしとら、北東)の方角には、同じ鬼ではなく、竜の瓦が配置される。そのような解説書が瓦の横に添えられていました。

 

 

 さらに珍しい雷神の鬼(?)瓦。

 

 

 これは珍しい、こんなの見たことがない・・・と思っていたら、横に添えられている解説書には、京都府下でもここにしか存在しないと書かれていた貴重なものでした。
 本堂が落雷で焼失することのないように巽(たつみ、南東)の方角、風門に配置されていたそうです。「風門の雷神で、風神と雷神の両方が揃う」という意味づけもあったという、興味深い話も知ることができました。
 これらの鬼瓦が観られただけでも、十分に楽しめましたが、せっかくですので他の場所も観て回ります。

 

 境内に祀られている「泉山融通弁財天」。

 

 

 泉山七福神の第二番、毎年1月、成人の日に行われる「泉涌寺泉山七福神巡り」のポイントのひとつで、そのうちの弁財天を祀ってあります。
泉山融通弁財天はその名の通り「金銭の融通をして下さる」というご利益があるそうです。
この尊像は、天台宗の‘伝教大師’最澄の作だとされ、「泉涌寺泉山七福神巡り」の日と、11月3日の弁財天大祭のみに開帳される秘仏だとされています。
勿論、この日は観ることができませんでしたが。
 それにしても・・・最澄といい、‘弘法大師’空海といい、貴重な仏像を幾つも造った昔の有名な僧侶というのは、彫像の才能にも優れていたのか、などといつも思うのですが。

 

 勿論、本堂へも参拝します。

 

 

 時代・作者共に不明ですがかなり古い不動明王像や、お釈迦様の生涯を描いたらしい絵など、貴重な仏教美術品が幾つもありますが、やはり「後水尾天皇の身代わりになった」という釈迦如来像「丈六さん」を観ることにします。
 本堂へと上がらせていただき、礼拝します。
 さすがにそういう貴重な仏像を直接撮影させてもらえることは出来ないので、
 「丈六さん」というだけあって、結構大きな、そして何とも特徴的な顔立ちの仏像です。
 後水尾天皇(1596―1680)がまだ皇太子だった頃、即位争いで刺客に狙われた時、身代わりになってその生命を救ったのが、この「丈六さん」だと伝えられています。
 薄暗い本堂の中ではよく見えなかったのですが、首筋の辺りにはその時に流れた血の跡が今でも遺されているとか・・・。
 このことから「悪いことの身代わりになってくれる」とか、「首から上や喉の傷病を治してくれる」といったご利益もあると信仰されています。
 ‘弘法大師’空海が矢で狙われた時に身代わりになったという「矢取地蔵」(※シリーズ第147回を参照)や、今回の「丈六さん」のように、誰かを身を挺してでも守ったという神様や仏様の話は幾つか聴いたことがありますが。
 ひとつ思うのですが・・・そういう神様や仏様は、果たしてどのような考えや判断基準などで、守護する相手を決めているのだろうか、と。
 後水尾天皇や、‘弘法大師’などは、まさに「神仏に選ばれて守護された」人ですが、必ずしもそういう人ばかりとは限らないのが現実ですね。
 最近の有名な例では、今年7月に凶弾に倒れた安倍晋三元首相は、いろんな宗教団体の、いろんな神仏を信仰されていたはずですが・・・身代わりになってくれる神仏は現れませんでした。
 全ての人間を救うのは神仏でも難しいということかもしれませんが、それにしても何か不公平なものではないかと思いますが。っと、こんなこと言ったら怒られますかね?


 少し妙なことも考えてしまいましたがそれでも、自分としては新たに、というか初めて訪れた不思議な伝承の遺る霊場を堪能して、この古刹を後にしました。

 

 

 ところで。
 「特別編・2022年の目標」で、「今年中に、本シリーズで新規スポットの記事を最低でも15以上、出来れば20以上書く」ことを目指していましたが。
 今回14本目。目標達成まであと1本です。
 果たして今年中に達成できるか・・・!?(汗)

 

 

 今回はここまで。
 また次回。

 

 

*泉涌寺塔頭・戒光寺へのアクセス・周辺地図はこちら

 


*泉涌寺塔頭・戒光寺のHP
http://www.kaikouji.com/

 


*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/

 

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