京都の闇に魅せられて(新館)

小泉「喜び組」選挙を支えるメディアの大罪

 「大変だ。えらいことになるぞ、民主主義の危機だ!」
 冗談や誇張でなく、大真面目にそう思う。

 9月11日の衆議院議員選挙に向けて、世論調査が実施されたのだが、なんと各新聞の世論調査で、「小泉自民党が圧勝」しそうだという。
 私は恐ろしくなった。と同時に「おいおい、嘘だろ!?」と思った。
 みんな小泉“喜び組”のごとき「マドンナ刺客候補者」や、ナントカの一つ覚えのような「ユウセイカイカク」や「カイカクヲトメルナ」のお題目に惑わされたのか。

 でも、ちょっと考えて見てほしい。
 きっかけは、確かに郵政問題であるわけだし、それも争点のひとつであることは間違いない。けど、だからって、それだけで判断していいのか? 「選挙は郵政民営化に対する国民投票」というが、それならば選挙などやらずに国民投票にすればいい。その方がコストもはるかに低く抑えられるだろう。
 となると、やはり郵政問題だけでなく、これまでの小泉政権4年間の実績と、これから何をするかも厳しく問われるべきだろう。

 私なりに振り返ってみて、どうだったか。
 結局ダメ。まるでダメ。こんなにひどくなるとは思わなかった。

 例えば、「国債はっこう30兆円枠」は? 政権1年目からうまくいかず、野党からそこを突っ込まれると、「たいしたことじゃない」と開き直る。一方で国の借金は540兆円から780兆円に急増。
 「道路公団民営化」は? 形だけ民営化して、無駄な高速道路を建設し続けることに。しかも橋梁談合事件などで、会社の偉いさんたちが公団幹部だったことがわかって、全くのイカサマだということがばれてしまった。
 「北朝鮮外交」は? 一部の拉致被害者とその家族を連れ戻した……まではよかったが、その後こう着状態。さらには、功を焦ったのか安易に約束してしまった「拉致被害者の返還」や「経済援助」を金正日に突っ込まれ、せびられる始末。今では、拉致問題と核問題を話し合うはずの六カ国協議で日本は蚊帳の外に置かれ、出口の見えない状態に。
 「日本の国連安保理常任理事国入り」は? 中国だけでなく、なんとアメリカ……自衛隊の海外派兵や米国債購入(これは形を変えたアメリカの借金肩代わりだ!)など、あれだけ尽くしたはずのアメリカに邪魔されて、これも絶望的に。
 「靖国参拝」は? これは、人によって意見の分かれるテーマだが、これがひとつの要因になって、対外関係(特に中国・韓国)が危機的な状況になった。さらに私が驚いたのは、「小泉さんが長い議員生活の中で、靖国時神社にお参りしたのは、わずか2回」だということだ。あのー、信念じゃなかったの、靖国参拝? さらに今回は選挙の争点から靖国問題をはずすために、今年は参拝をとりやめたのだとか。選挙戦術としてはうまいけど、「この程度の」信念しか持ち合わせてないのに、日本を危機的状態に陥れてまで問題にしたのは……それって、ただの無責任じゃないのか? これじゃあ、中国・韓国など外国だけでなく、日本の同胞にもまともに説明できるはずないだろう。

 以上、これだけ小泉さんのやってきたことを振り返ってみたけど……何かいいことあった?
 その一方で「新自由主義」という名の下に、弱者切捨て……より正確に言えば、「一部の勝ち組とエリート以外は見殺し」という路線だけはしっかり進められ、何百万もの勤労者がリストラや不安定雇用化(フリーター、派遣労働者など)で、収入の低下や労働条件の悪化に泣くことに。このままでは、「一億総中流」ならぬ「一億総負け組み時代」が来る(もちろん、ごく一部のエリートと金持ちを除いて)。
 こんな政治を、あなたはこの先さらに4年間も続けさせるのですか?
 私は、日本の有権者一人一人にそう問いたい。

 話を戻すけど、にもかかわらず「小泉自民大勝」の予測が出るとは、どういうことだ!?
 しかも(失礼ながら)、どう見ても「エリート」でもない「勝ち組」でもなさそうな人たち……つまり小泉政権が続くと損をし、さらに泣かされることになりそうな人たちまでもが支持している。 まさか、日本の有権者はマゾばっかり、などということはないだろうに!


 なんでこういうことになるか。
 私の考えをずばり言えば、マスコミの報道が一番悪い、と思う。
 選挙の争点にすべき諸問題を、ほとんどまともに取り上げようともせず、3流ワイドショーのごとく、視聴者の情緒にのみ訴えたセンセーショナルな報道をする。
 あの「マドンナ刺客」と言われる、小池百合子や片山さつきなどの取り上げ方も、変だ。候補者の資質や理念・政策などをまともに検討することもほとんどしない。それどころか、2枚目韓流スターに群がるミーハー女のごとく群がり、無批判にとりあげ、結果的に持ち上げる。アホじゃないのか? 
 その一方で、真面目な野党や無所属の候補者がほとんど無視されている。例えば、小泉首相と同じ選挙区に「逆刺客」として名乗りを上げた、元・外務省駐レバノン大使・天木直人氏を、読者の皆さんはご存知か? イラク戦争参加に異を唱えて外務省を辞めさせられたことや、その後小泉外交のでたらめさを告発した著書『さらば外務省』や『さらば小泉純一郎』で、ご存知の方も多いだろう。しかし、マスコミはこれをほとんどとりあげようとしない。 話題性においても、マドンナ刺客かそれ以上だと思うのに、何故? しかも、天木氏は彼なりの信念を持って出ているというのに。
 これはまるで……北朝鮮の独裁者・金正日が「美女軍団」や「美少女応援団」などを国際的なスポーツイベントなどで出して、韓国国民の支持を得ようとしているのと同じではないだろうか? また最近では、金正日の踊り子(兼ハーレム)集団として有名な「喜び組」のナンバーワンだという女性がアイドル・デビューしたという話も小耳にした。
 そういう「色仕掛け」に鼻の下を伸ばした韓国国民が、安易で危険な「親北反日」の道へとさらにのめり込んでいく……。
 でも、「マドンナ刺客」などという、「小泉喜び組」のような連中にコロッと参ってしまって、安直に小泉自民を支持してしまう。これでは、あまり韓国国民のことを嗤えないのではないだろうか? 目先の色気や、表面だけ派手な演出に惑わされ、「その先にあるものが自分たちにとってどういう意味を持つか」をまともに考えない、という点では、日韓の大衆は似たり寄ったりかもしれない。
 どうか、有権者の皆さんには、アイドルの人気投票のような浮ついた感覚で投票しないでくれ、と言いたい。
 投票の結果は、必ず自分自身にも何らかの形で跳ね返ってくる。
 これを、ゆめゆめ忘れないでもらいたい。


 それにしても、マスコミ報道の無責任さには、本当に考え物だ。
 20世紀で、メディアが持つ効果を悪用し、自らの権力を強化した独裁者はたくさんいたが、その中で特に有名なのが、アドルフ・ヒットラーとヨシフ・スターリンだ。
 明日の選挙で、小泉自民党が大勝などということになったら……後世の歴史、特にメディア史において、ヒットラーやスターリンなどの例とともに、「メディアが権力者によって悪用された有名な事例」として記録されることになるかもしれない。
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