京都の闇に魅せられて(新館)

京都妖怪探訪(267):赤山禅院





 こんにちは。
 今回は「マサルくん3号」について……。
 「御所・猿ヶ辻」「幸神社」に続く、「平安京・御所の鬼門を守る3匹の猿」のうちの3匹目、赤山禅院の猿をとりあげます。



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 赤山禅院は、仁和4年(888年)に天台宗・比叡山延暦寺の3代目座主・“慈覚大師”円仁の遺命によって、延暦寺の別院として創建されたと伝えられています。
 平安京は遷都された当初から、「四神相応」や「鬼門除け」など、霊的・呪術的な防御を考慮して創られていた。
 比叡山延暦寺も、平安京の鬼門を守る施設として、桓武天皇の時代から創建された。
 私みたいなオカルトマニアや、その手の方面に詳しい方の間では有名な話です。
 ここの猿だけではなく、比叡山別院たる赤山禅院そのものも、鬼門から来る魔物・悪霊や災厄などから平安京を守るための呪術的装置だったということなのです。
 そして……。
 「都の呪術的防御はどのように創られてきたのか? 古人はどのようにして、魔物や悪霊などの霊的災厄から守ろうとしたのか?」
 ここを訪れて、その答えの一部がわかったような気がしました。
 現在でも赤山禅院は、京都の中心部から北東の地域に建っています。
 京都市営バス「修学院道」停留所か、「修学院離宮道」停留所から、徒歩でおよそ15分ほど。
 白川通りから、閑静な住宅街の中を通り抜けた場所に、赤山禅院は建っています。















 赤山禅院の鳥居と山門です。








 それにしても、天台宗・比叡山延暦寺の別院……つまりここは仏教寺院のはずですが、入り口は鳥居とは。
 そう言えばこの赤山禅院は「神仏習合の寺院」だという話ですが……。


 山門から境内へ。









 参道を通って拝殿へ。






 拝殿にかかっている「皇城表鬼門」という看板が、ここが御所・平安京の鬼門を守るための寺院であることを示しています。






 そして、拝殿屋根の上に「マサルくん3号」こと、3匹目の鬼門除け猿が立っています。





 金網が被せられているのは、「御所・猿ヶ辻」と同じく、「この猿が夜中に動き回っていたずらをするのを防ぐため」だとか言われています。
 まさかここも、「鳥の糞害を防ぐため」だとかじゃないですよね?(笑)
 それにしても彼らは、どんないたずらをするのでしょう?


 ここを訪れた第一目的は果たせましたが、せっかく来たのですから境内をひと回りすることにしました。


 地蔵菩薩を守る地蔵堂。






 本殿前にこんなものが。





 これは「正念誦(しょうねんじゅ)」というもので、ここから願い事を心に浮かべながら通りぬけるといいそうです。



 本殿の様子です。






 この本殿(本堂?)に祀られているのが、本尊(主祭神?)の「赤山大明神」。
 「赤山大明神」とは、中国の道教で信仰されている泰山府君を勧請したものだとされています。
 さらにこの神様は、地蔵菩薩の化身でもあるとされています。
 なんか、仏教の菩薩と、神道・道教の神様とが一緒くたにされているような……。


 弁財天堂。七福神のうち、弁天様を祀るお堂です。






 弁財天堂の周りにはたくさんの石像が。羅漢像でしょうか。









 福禄寿殿。七福神の中の福禄寿を祀っています。






 さらに進んで行きますと、まだまだたくさんの神様・仏様が祀られているようです。








 しかし、「神仏習合」とはいえ、随分と多種多様な神様が祀られているようですね。



 「金神(こんじん)」を祀ってあるらしい「金神宮」。





 「金神」とは、風水や陰陽などで、「凶」とされる方位に存在するという凶神です。

(※この時、シリーズ第148回で「金神」について調べたことを思い出したのです。確か当時私は、間抜けにも「金運の神様」だと勘違いして、「お金が儲かりますように」とか祈ったものですが……)

 仏教の菩薩に、神道・道教の神様に、今度は風水や陰陽道の凶神までとは……。



 次は「歓喜天社」。





 看板に「夫婦和合之神」と書かれていますが、確か密教の性愛や財福を司るという尊天だったはずです。
 また元は、ヒンドゥー教のガネーシャという神様。
 先ほどの弁財天も元はヒンドゥーの河の女神サラスヴァティ。
 外来の神様まで祀っているとは、ここはなんというか「神仏のデパート」みたいな場所です。


 次は、「縁結び」「夫婦和合」の神様である、「相生社」。















 「日本気学発祥地」を示す石碑。





 「日本気学」とは、大正13年(1924年)に九星術などの占術を元に創られた占術。
 仏教、神道、道教、陰陽道、ヒンドゥー教と来て、今度は占術。
 
 ここには元々、「鬼門除けの猿」を見に来ただけだったのですが……。
 あらゆる神仏だけでなく、宗教や占術まで。あらゆるものがごった煮にされて存在している「オカルトのデパート」みたいな……私のようなマニア・ヲタクにとっては、なかなかに面白い場所だったようです(笑)。



 不動明王を祀ったお堂に、滝を祀っているお堂まで。
 この辺は密教寺院としては普通ですが……。






 「再起延命地蔵」。
 私みたいな、人生の道を踏み外した者も救ってくれるといいのですが(笑)。






 そして、またもやこんなものが。





 本殿(本堂?)前にあった「正念誦(しょうねんじゅ)」に対して、こちらは「還念珠(かんねんじゅ)」というそうです。
 まず、正念誦(しょうねんじゅ)をくぐり抜けながら願い事を思い浮かべ、その願い事を思い続けながら参拝を続け、最後に還念珠(かんねんじゅ)をくぐり抜けながら、その願いを実現するために努力することを誓うと、仏様の加護が得られる……という話です。



 本堂と、屋根の上の猿が見えてきました。
 どうやら、境内を一周したようです。






 さて、ここまで長々と境内を巡ってきましたが。

 ここで気づいたことが……というか、思いついたことがあります。
 それは、創建当時の人々の必死さです。
 当時の人々は、よほど「鬼門」や「凶方」など、目には見えない霊的なものをよほど恐れていたのではないか。それらをから身を守るために、あらゆる宗教の、あらゆる神仏の力にすがろうとしていたのではないか。
 それが(いくら神仏習合の寺院だとはいえ)、複数の宗教とその神仏が無節操と言えるまでにひとつの寺社の中に混在するような状況を生み出したのではないか。
 そんな気がしてきました。

 もしかしたら、「神仏習合」という日本独特とも言える信仰形態はこのようにして、生み出されたのかもしれない。
 そんな気もしてきました。
 新しく入ってきた宗教が拡大を図るために、既存の他宗教の信仰や神々の一部を取り組むということはよくあるそうです(例:密教が道教やヒンドゥー教の神々を「天部」などとして取り入れた等)が、それとも少し違うような気もする。

 また、後世になって「鬼門」などに対する信仰や恐れが無くなってくるにつれ、元は「鬼門除け」「霊的守護」等のために創建されたこうした施設の多くは、現世利益を売りにする寺社仏閣へと変貌していったそうです。
 境内を回ってみて、「やたらと現世利益を追求する傾向が見られるなあ」という気がしてましたが。


 日本人の宗教的な寛容さを象徴する「神仏習合」も、こうした古人の「目に見えないものに対する恐れ」と、「それから逃れようとする必死さ」から来たものか?
 実に面白く、興味深いような。その一方で、少しがっかりしたような、なんとも複雑な気持ちを抱えながら、赤山禅院を後にしました。






 それでは今回はここまで。 
 また次回。
 桜の季節になりましたので、次回からは霊場魔所を含めた、京都各地の桜の光景をお届けしていきたいと思います。





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*赤山禅院へのアクセスはこちらを参照。



*赤山禅院のHP
http://www.sekizanzenin.com/index.html



*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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