知人が花巻に行くなら、宮沢賢治記念館にも、是非と言われました。
宮沢賢治って、なんとなく、盛岡とか、青森とか、もっと北の方のイメージでしたが、花巻に生まれたのですね。
そこで、昔一度は読んだはずですが、読むかなぁと思いながら、埃にまみれた文庫の『銀河鉄道の夜』を持っていきました。いろいろな小編も入っているものです。
ところが、何気なく読み始めてみると、今の気持ちに合っていたのか、とても気持ちが落ち着き、惹かれました。
葉っぱに露がたまって落ちるとか、風の音とか、宝石の色で表される色とか・・・。人間の子どもと狐の子どもが遊びながら信頼関係を築く最初の小編を読んだら、涙が出てきてしまいました。
自然の声を聴いたり、自然と一体になったり、動物も鉱物も人間も一緒みたいな、そんな世界・・・そうだよな、ついこの間までこうだったんだ、この世界が本当だという気がしました。
そこで、次の日、午後からのシンポジウムまでの時間、宮沢賢治記念館に行くことにしました。
偶然、出会った同じシンポジウムに来られていた滋賀大学の先生2人とご一緒に、ついでに新渡戸稲造の記念館と2つ回りました(タクシーの運転手さんが、待ち時間分をメーターを止めてくれたので効率的に回れました)。
賢治は、科学の進歩にも期待をしていたようですから、私が子狐の話で感動した世界観とはちょっと違ったかもしれません。
先の本には、火山の爆発をコントロールして、冷害を無くす話も出てきます。
でも、今、生きていて、この美しい国土が人間のコントロールを超えた原子力で汚されていることを知ったら、どう思ったでしょう。
いずれにしても、賢治も、新渡戸も、視野が広く、博覧強記で、凄いなぁと感心しました(私が感心するなんておこがましいのですけどね)