法政大学院での私の授業が始まり、第一日目にHUGをやってみました。
私がやるHUGは、静岡県のを元にしていますが、「本来の避難所運営協議会」のような組織が到着するまでの間の7時間を最初に来た5人くらいの人たちがともかく避難してきた人を体育館や教室に収容する、食糧の配給や救護施設などは、明日以降になるという前提です。
偶然、座っている近くの人で5人ずつに分けたら、男女のグループに分かれました。女性グループに男性が一人入っていましたが、彼は、カードを配る担当で、討議には参加しない形でゲームを進めました。
すると、凄く興味深かったのは、男性のグループは、ゲームを始めるにあたって、まず、必要そうな係りを書き出し、受付係、誘導係を決めて、受付係が、どの部屋や体育館のどのあたりを居場所にするかを決めていきました(たとえば、子供を面倒みるエリア、外国人のエリアなど)。そのほか、トイレ係、食糧係、救護係など(食糧や救護は、当面は不要な係りとなりました)。そのうち、たとえば、ペットを連れてくる人が多いのを知ると、ペットを連れてきた人たちで扱いをどうするかを考えるようにし、その中からペット係りを選びました。途中から、受付と誘導は、5人がやるものの、トイレ係りなどは、バケツリレーを募るのと同時に、その壮年者のなかから決めることにしました。
要は、リーダー(受付係)が役割や、部屋の割り当てを決め、残りの4人や、他の避難してきた人は、そのリーダーの指示に基本的に従うというやり方。組織的に決め、命令系統がはっきりしている方が皆安心するのではないかという考え方でした。
一方、女性のグループは、小雨のなか、避難してきたので不安だろうから、まずは、安心させるために、ともかく、部屋に入れ、かつなるべく家族一緒にいられるように配慮するという方法を取りました。そして、子供がいる人は、最初から、家族で(元気の良い父親はバケツリレーなどに駆り出されるので母と子)、一部屋に集めました。このため、ここを授乳や女性の着替えにも使うというように展開していきました。
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その後の情報共有で、男性のグループからは、リーダーを決めないで、どうやってものごとが進んでいくのか分からないという意見が出て、女性の側からは、赤ちゃんが泣いていれば、必ず誰かが声を掛けるものだし、余裕のある人が率先して何かやりだす・・・そうすると、その人は、頼れる人だと皆に思われて、自然にその人がリーダーのようになっていくという意見が出ました。
女性の側からは、リーダーがダメな人だったらどうするのだという意見が出て、男性からは、僕らは、会社のなかで、ダメな上司に慣れている。ダメな上司との間を取り持って、上手にコーディネートするのが得意なのだという話が出ました。
しばらく落ち着いて考えてみると、私が前提として、「本来の組織」が動きだすまでの間、先に集まった5人がいろいろと決めていくと言っているので、男女とも、その5人が全体を仕切っているわけで、進め方として大差なかったのです。
しかし、効率的に進めるには、組織が必要・・・という男性陣の考え方と、トップダウンでリーダーを決め、役割を決めるということに納得できない、基本平等のなかで、自ずと率先者が出てくるものだという女性陣の考え方とが相対立して、とても面白い話し合いになりました。
また、受付を女性陣は、校庭にテントを使ってやったのに対し、男性陣は、体育館の中に受付を作りました。男性陣の反省として、受付や司令塔のようなものをもっと見える化した方がよかった。ステージのようなところに司令塔を設け、そこに行けば何か決めてもらえる、文句や不安ごとがあったら、そこに行けばよいということが分かった方が安心感を与えるうえで良かったのではないかというような話がありました。
これまで、何度か地域でHUGをやりましたが、命令系統の話が出たのは、始めてで、とても面白かったです。