見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

「地域おこし」の風景

2008-11-09 22:47:29 | 信州の風景
友人に誘われて、数年前に合併した山間の地域へドライブした。
人口1500人余、600世帯ほどの山村で、若者は外へ出て行く一方だというが、
外から移り住んだ人々が、山の頂上で自然酵母のパンを焼くカフェを開いていたりする。

北アルプスの眺望と、燃え盛る紅葉があまりに素晴らしいので、
山の中をくねくねと当所なく走っているうちに、思いがけず雰囲気のある食事処に遭遇した。



地元の人たちで運営する地域おこしの茶屋だった。
営業は、土日のランチタイムのみ。

給仕をしている男性のひとりは、ボランティアなのだ言った。
職業は会社員。地域で運営する茶屋だから手伝うのだと言う。
茶屋の入口には、採り立ての新鮮な野菜が並んでいた。
大きな大根やカリフラワーが100円だ。

地元のそば粉を使ったという新そばは、黒味の強い「田舎蕎麦」。
取れ立ての野菜を用いたてんぷら盛りが、ぱりぱりと歯に応えて美味しい。





茶屋の真上の山斜面に、ユニークな風景があった。
棚田の一面から勢いよく一本の噴水が上がっている。
「地域おこしで造ってみました。使わなくなった田んぼが荒れてしまうので」
と、茶屋の表で野菜を売っていた男性が言った。

脇を下る沢水の落差を利用して、みんなで自然噴水を考案したのだという。
地域の衆が集って運営する茶屋と、噴きあがる田んぼの中の素朴な噴水。

「大峠ゆめ公園」は、
その全貌の正面に、なぜか大きな流し台がどんと置かれ、
公園にしては、なぜか噴水に行き着く散策路はなく、
棚田を下から見上げるという不思議な「公園」だが、
それゆえ
いつまでも心の隅にひっかる風景になってしまっていた。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「あの頃は、政府がしっかり... | トップ | 環境のシンボル »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

信州の風景」カテゴリの最新記事