ゴッホ美術館へ行った。
展示室を正面に見据えたロビーに、軽やかなジャズナンバーが流れ、柔らかな光源の下のゆったりしたソファーで、来館者たちがゴッホの作品を遠目にしながら、ワイングラスやビールグラスを傾けて寛いでいた。ゴッホ美術館は、訪れる人を様々な演出で迎え入れるお洒落なミュージアムだった。
芸術に対する私の造詣はひどく浅い。なので、美術にせよ建築にせよ、作品の「芸術性」には音痴であるが、その作者の意図やバッググランドを想像するのは楽しい。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの絵の価値はわからないが、人物像に興味をひかれ、アムステルダムにあるゴッホ美術館を訪ねた。
欧州の多くのミュージアムが特定曜日に夜間開館サービスをしているように、ゴッホ美術館も金曜日は22時まで開館している。鑑賞の集中力と美術館の規模を考えると2時間あれば十分だろうと、夕食を済ませてから入館したのだが、実際にはその倍の時間は必要だったと後悔することになった。
4ユーロで借りた日本語のオーデオガイドがすばらしかったのだ。クラシックをBGMに、作品を作成した時のゴッホの心情や作品の特徴を、ゴッホ役と解説役2名の3人の声が入れ替わり細かく説明する。ゴッホは、画廊を経営する弟に完成した絵を送る際、いつも手紙を添え、自分の心情や作品の意図を細かく書いていた。それが彼の作品を詳しく知る大きな手がかりとなっているというわけだ。ひとつひとつの作品を前に立ち、ヘッドホンから流れてくるゴッホの言葉や解説を聞きながら、ひとつひとつの作品の前に立つと、彼が画家になると決心してから自殺するまでのわずか10年間が、現実身を帯びて見えてくる。
ガイドの説明に集中しているうちに2時間はあっという間にたち、常設展示室4フロアーのうちの油絵を展示している2フロアーを歩いたところで「閉館です」の無情なアナウンスが鳴り響いた。残念ながら、彼の版画や手紙の展示フロアーや、企画展を開催している黒川紀章デザインの特別展示館まで足を踏み入れることができなかった。
ゴッホの作品が認められるのは、37歳で彼が他界した後のこと。日本の保険会社が40億円以上で彼の「ひまわり」を買ったというニュースもあった。人がつくりだす「創作物」の価値について、改めて考えさせられるゴッホの吐露を聞いた気がした。
↑日本の伝統的な蔵をイメージしたという黒川紀章のデザインの特別展示館。周囲の歴史的重厚な石造建築物と比べると評価の別れるところ。右が本館。
展示室を正面に見据えたロビーに、軽やかなジャズナンバーが流れ、柔らかな光源の下のゆったりしたソファーで、来館者たちがゴッホの作品を遠目にしながら、ワイングラスやビールグラスを傾けて寛いでいた。ゴッホ美術館は、訪れる人を様々な演出で迎え入れるお洒落なミュージアムだった。
芸術に対する私の造詣はひどく浅い。なので、美術にせよ建築にせよ、作品の「芸術性」には音痴であるが、その作者の意図やバッググランドを想像するのは楽しい。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの絵の価値はわからないが、人物像に興味をひかれ、アムステルダムにあるゴッホ美術館を訪ねた。
欧州の多くのミュージアムが特定曜日に夜間開館サービスをしているように、ゴッホ美術館も金曜日は22時まで開館している。鑑賞の集中力と美術館の規模を考えると2時間あれば十分だろうと、夕食を済ませてから入館したのだが、実際にはその倍の時間は必要だったと後悔することになった。
4ユーロで借りた日本語のオーデオガイドがすばらしかったのだ。クラシックをBGMに、作品を作成した時のゴッホの心情や作品の特徴を、ゴッホ役と解説役2名の3人の声が入れ替わり細かく説明する。ゴッホは、画廊を経営する弟に完成した絵を送る際、いつも手紙を添え、自分の心情や作品の意図を細かく書いていた。それが彼の作品を詳しく知る大きな手がかりとなっているというわけだ。ひとつひとつの作品を前に立ち、ヘッドホンから流れてくるゴッホの言葉や解説を聞きながら、ひとつひとつの作品の前に立つと、彼が画家になると決心してから自殺するまでのわずか10年間が、現実身を帯びて見えてくる。
ガイドの説明に集中しているうちに2時間はあっという間にたち、常設展示室4フロアーのうちの油絵を展示している2フロアーを歩いたところで「閉館です」の無情なアナウンスが鳴り響いた。残念ながら、彼の版画や手紙の展示フロアーや、企画展を開催している黒川紀章デザインの特別展示館まで足を踏み入れることができなかった。
ゴッホの作品が認められるのは、37歳で彼が他界した後のこと。日本の保険会社が40億円以上で彼の「ひまわり」を買ったというニュースもあった。人がつくりだす「創作物」の価値について、改めて考えさせられるゴッホの吐露を聞いた気がした。
↑日本の伝統的な蔵をイメージしたという黒川紀章のデザインの特別展示館。周囲の歴史的重厚な石造建築物と比べると評価の別れるところ。右が本館。