先日、業界紙に掲載された意見広告。
本当に、色々なことを考えさせられた。
意見広告の内容を要約すると、『元請け業者が勝手に安く受注をしておいて、自分達の利益だけを確保してから、我々専門業者(左官)に安く仕事を発注するから、我々は生活できなくなってしまう。このままでは、左官屋は無くなっちゃうけど、それでいいの?』というものだ。
この意見広告は、多くの示唆に富んでいるが、最も危惧すべき点は、元請け業者と専門業者に横たわる深い溝だ。
当社の場合、元請負工事が90%以上を占めているため、立ち位置はどうしても元請け業者よりになってしまうことを割り引いても、『元請け業者が自分達の利益だけを確保している』という考え方を、専門業者の方々にもたれてしまっていると言うことは、本当に悲しい。
信頼関係がなければ、良い仕事などできるはずがないからだ。
翻って経済原則からすると、需要が供給を上回れば、必然的に価格は上昇する。
すなわち、安値受注に元請け各社が走るのは、供給が需要を上回っているからに他ならない。
もちろん、元請け各社がいつまでも安値受注競争に耐えられるわけでは無く、倒産や自主廃業により、建設業許可を受けている会社(大部分が元請け受注のある会社)数は、2000年の600,980社から2011年の498,806社へと、ここ10年間で10万社以上が減ってしまった。
このことだけでも、『元請け業者が自分達の利益だけを確保している』という認識は、少々一方的すぎるように思えるのだが、物事の本質はそこにはない。
最近よくある例え話に、銀塩写真フィルムの雄、KODAKの例が挙げられる。
写真用フィルムの供給元として、そしてDPE(現像・プリント)の元締めとして世界をリードしてきた。
ところが、写真のデジタル化に伴い、フィルム需要は激減。
ついには、経営破綻してしまった。
その間、長らく写真用フィルムではKODAKの後塵を拝してきたFuji写真フィルムは、各種特殊フィルムや化粧品の分野にまで手を広げ、確固たる地位を築き上げた。
Fuji写真フィルムも、縮小する市場の中で、KODAKとの激烈な価格競争を繰り広げた歴史もあり、今の建設業界と同じ経験をしている。
そして、倒産すること無く生き残ったと言うことは、ダーウィンが提唱する『強い者ではなく、変化に対応できる者が生き残る』という考えを実践したからに他ならない。
左官業界を含む建設業界は、今まさに歴史的転換点を迎えている。
その転換点を意識できずに『我々に仕事が回ってこないのは○○のせいであるから、何とかしてくれ』といっても、誰も助けてくれない。
『助けてもらう』のではなく『自分達が変わる』のでなければ、KODAKの二の舞となってしまうことだろう。
『建設業は必要ですか?』
このような意見広告を出さずに済むよう、自分達を変えていきたい。
でも、『政権交代』や『Change!』のように、かけ声倒れじゃダメだなぁ・・・
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結局、変化に対応できるものが生き残るって納得です
人間誰しも「今の状態が未来永劫続くモノ」と信じて行動しがちですが、実際は一秒一秒変化していることから目を背けているだけかもしれません。
目を見開いて、現実を直視して、行動に移していくしかありませんね!
ありがとうございました。