ドラフト候補のおさらいをしようとこれまでの観戦ノートを繰っていたら気になる選手が何人も出てきたので、そのうちの何人かを順不同で紹介することにする。今回はまず社会人の数人。
◇松永昴大(投手・高松商⇒関西国際大⇒大阪ガス/24歳・左投左打・175/76)
サイドスローに近いスリークォーター。都市対抗ではパナソニックの補強選手として準々決勝のJX-ENEOS戦に2回途中から登板して、2回3分の1を投げ、5安打、1死球、3自責点とよくなかった。この試合の最速は144キロとまずまずで、変化球は127、8キロの横スライダーがあり、左打者はわかっていても追いかけてしまうキレがあった。
◇井領雅貴(右翼手・桐蔭学園⇒JX-ENEOS/23歳・右投左打・175/80)
都市対抗で優勝したJX-ENEOSの1番打者として5試合に出場、打率.375を記録する。毎試合安打というバッターとしての安定感と5四球の選球眼が魅力。都市対抗の西関東予選でも打率.429、5四死球を記録している。都市対抗の準々決勝、パナソニック戦では2死一、二塁の場面でリリーフした松永昴大(上記参照)の初球、内角高めの144キロを最短距離で捉えてから強烈に押し込み、右翼最前列に放り込んだ。ライトからの強肩は新人の頃から定評があり、脚力は1回戦のジェイプロジェクト戦の第2打席、フルスイングした中前打のときの一塁到達タイムが4.29秒と速かった。
◇三橋尚文(投手・東京学館⇒上武大⇒JFE東日本/33歳・右投右打・185/84)
社会人11年目の大ベテランでプロはなさそうだが、実力が抜けているので上位候補として紹介する。都市対抗1回戦の伏木海陸運送戦では先発して5回3分の2を投げ、5安打、2四球、10三振、失点0とまずまずのピッチングを見せる。ストレートは146キロが最速で、変化球は縦・斜めのスライダー、フォークボール、チェンジアップがあり、打者寄りの変化やキレ味が素晴らしい。内角に腕を振って渾身のストレートを投げ込むコントロールがある一方、走者が得点圏に進むと外角主体、変化球主体になり、物足りなかった。
◇江口大樹(捕手・佐賀東⇒関東学院大⇒JR東海/27歳・右投左打・175/77)
原拓也(西武)と同期だった関東学院大時代も走攻守揃った好捕手として注目した。都市対抗1回戦のNTT東日本戦は強肩を披露。5回は目黒聡、9回は越前一樹が二盗を試みるが、いずれも1.92秒、1.90秒という電光石火の二塁送球で殺している。捕ってからの速さと小さいモーション、そして向かって右下への正確なコントロールは群を抜いている。残念なのはバッティングに特徴がないのと27歳という年齢。捕手不足のロッテや阪神なら獲得しても面白いと思うのだが。